ベトナム 関税同盟加盟へ

=タス通信撮影

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ベトナムが、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3国からなる関税同盟に加盟する意向を示している。専門家は、ベトナム加盟でロシアのアジア太平洋地域における影響力は強まる可能性があるものの、同時に望ましくない事態もありうると警告する。

「我々は、自由貿易協定の交渉の開始時期を早めることについて話し合った。今年9月にウラジオストクで開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)サミットで、交渉開始を発表することになろう。ベトナムとロシア、そして他の関税同盟加盟国であるベラルーシとカザフスタンの政治的意志で、間もなくこのプロセスを開始し、加盟にこぎつけられるものと期待している」。こうベトナムのチュオン・タン・サン国家主席は、訪問先のロシアで述べた。

 影響力回復の試み 

ベトナムの関税同盟加盟の話が初めて出てきたのは、2010年10月のメドベージェフ大統領とグエン・ミン・チェット国家主席(当時)との会談においてだ。

今年7月初めには、ベトナムのミン外相が、ロシアとベトナム両国の貿易額は、約30億ドル(約2400億円)だが、2015年には約50億ドル(約4000億円)に達する見込みであると述べていた。

両国は、金融機関と銀行間の協力も緊密化し、投資と信用供与も拡大していく意向だ。

これに対して、ラブロフ外相も、現在、専門家により、ベトナムとニュージーランドの関税同盟加盟の問題が協議されていると述べた。

ASEAN全域にもと意気盛ん 

専門家によるこの協議の結果は、今年の年末に発表される。協議が順調に進めば、関税同盟のASEAN地域への拡大についても論議することが可能だとラブロフ外相は強調した。

また同外相は「ロシアは、アジア太平洋地域における地位向上のために努力しているので、ベトナムのような友人は、とくにロシアとの歴史的きずなを振り返れば有益だ。その証となるのが、最近、ベトナムにロシアの軍艦を配備する可能性について話し合ったことだ」と付け加えた。

投資会社「チューリヒ・キャピタル・マネジメント」社のアナリスト、オレグ・ドゥシン氏も、ロシアとベトナムの自由貿易について、プラスはあると言う。

「今のところ、両国の貿易額は少ないが、これは東南アジア全域との協力関係拡大のきっかけになるし、同地域における影響力の回復の試みにもなる。ベトナムとの協力は、軍需産業や機械工学の分野でも有望だ」。

労働市場解放に終わる? 

だがその一方で、懐疑的な見方をする人も多い。ドゥシン氏も次のような留保を付ける。

「ロシアの人口密度は、1平方キロメートルあたり 8,4人にすぎないが、ベトナムは273,4人だ。この両国間で自由貿易ゾーンを創ることは、人口密度の稠密な国に対して、ロシアと他の加盟国の労働市場をよりオープンにすることだ。これはつまり、ロシアにとって、こういう“同盟”が利益をもたらすかどうかは―特に政治的利益は―極めてあやしいということになる。アジア諸国の自由貿易ゾーン創設への意欲は、彼らの影響圏拡大への意志にすぎない」。

関税同盟には、他の国も加わる可能性がある。モルドバ、キルギスも関心を抱いているとの報道があった。また今年5月には、シリアの加盟について協議されているとの同国の公式の報道もあった。

ロシア、ベラルーシ、カザフスタンからなる関税同盟が結成されたのは2007年のことで、2010年10月に発効した。これにより加盟国間では事実上関税障壁はなくなった。

*元原稿: http://vz.ru/economy/2012/7/30/590864.html

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