ナタリア・ミハイレンコ
北極圏内にあるヤマル半島、東シベリア、極東地域における天然ガス採取のロシア全体に占める割合は2010年には5%だった。それが35年に43%にまで増大する可能性がある。石油部門でも同じ傾向がみられる。
北極地方の石油ガス資源は、ロシアのすべての化石燃料産地の確定埋蔵量全体に匹敵すると言っても過言ではない。
資源開発は魅力的だが
北極圏の石油ガス産地はこれから発見しなくてはならないが、この巨大な宝庫は国の安全保障の重要な要素となり得る。
国際エネルギー機関(IEA)の評価によれば、世界の石油とガスの資源全体に占める北極圏の割合はそれぞれ2%と6%にすぎない。
北極圏を世界のエネルギー安全保障にとっての決定的要因と呼ぶことは今のところ難しい。
北極圏開発は石油ガス部門の将来の競争力という点で意味がある。北極圏で最も生産的に活動できる者は世界の化石燃料市場で優位に立つ。
これはロシアの企業、外国のパートナーにとって魅力的である。だが、社会と国家からみてそう簡単ではない。
実際、極北における石油ガスプロジェクトは税収、雇用、注文をもたらし経済成長を促すかもしれない。
その半面、化石燃料の採取と加工への依存を深めるものとはならないだろうか。
過度の肩入れに懸念も
経済全体の見通しがさほど明るくない中で、石油ガス部門にどんどん肩入れする必要があるかどうかは不明である。現在の石油ガス価格の水準なら北極プロジェクトは十分採算がとれるのだ。
IEAによると、北極圏における採取費用は輸送費を除いて、石油が1バレル当たり40~100ドル、ガスが1立方メートル当たり150~460ドルだ。利益は期待できるが、企業にはさらなる追加的な刺激策が必要だ。
北極圏開発の有効性という問題には、プラスかマイナスかという一義的な答えはありえない。
重要なのは、北極圏での調査を活発化し、技術開発に挑み、経済・環境・社会的費用、並びにロシアと世界のエネルギー安全保障の優先性を考慮して、個々の具体的産地の開発に関する決定を行うことである。
アレクサンドル・クルジン、ロシア政府付属分析センター・エネルギー経済戦略調査局長
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