ロシアの外交政策の哲学

ナタリア・ミハイレンコ

ナタリア・ミハイレンコ

ラブロフ外務大臣論文

 これらの協議の主な結論は、現代の独立したロシアの外交政策は替えがきかないということである。言い換えれば、ロシアが国際舞台でどこかの大国と”結びつく”案は、仮定形でも検討できないということだ。ロシアの外交政策の独立性は、国の地理的規模、独自の地政学的な状況、何世紀もの歴史的伝統、文化、そして国民の自己認識によって築かれている。さらに、新たな歴史的条件のもとでロシアを発展させたここ20年、すなわち試行錯誤をくり返しながら、現代ロシアの利益にかなう外交政策の哲学を打ち立てることができた時期の成果でもある。

 それでも、ロシアの潜在性を活かすという目標が、世界の安定という条件のもとでのみ達成可能となることは明らかであり、したがって世界の平和と安全を確保することが、世界の一国であるロシアの義務であり、同時にロシアの利益を実現するための主要な問題なのである。

 世界の競争を戦争に変えないようにするためには、世界の主要国を集めた地理的かつ文明的な共同体を揺るぎない存在にすべく常に活動することが、より有効な手段となると信じている。

 

独立した網目外交 

 共同の利益にもとづいた、相互交差を含む柔軟な国家の団結を意図する「網目外交」を、ロシアは完全に支持している。異なる大陸に位置する国家が、このようにうまく団結している例として、BRICSをあげることができる。

 ロシアは2013年から2015年にかけて、G20、G8、上海協力機構、BRICSの議長国を務めながら、これらの多国間協議がより効果的に世界運営に寄与できるよう、エネルギーを注いでいる。これはロシアの外交政策における、「多ベクトル」の実践例である。

 ロシアは自国の伝統にしたがって、多くのパートナー国家が認めている、国際問題における均衡要因の重要な役割を果たし続ける。これは、ロシアの国際的地位のためだけではなく、権利と公平性の原則に触れるような事態に対し、自国なりの意見があるためだ。

 極めて豊かな文化的、精神的遺産と、1億人強の社会による効率的な相互活動という多大な可能性を融合している国として、そのソフト・パワーの可能性を拡大することも、ロシアの魅力を高める要因となる。

 

最終目標では多くの共通点 

 現代の困難な問題に対する世界の主要国の意見は、戦術ではなく、最終目標という点で特に、相違よりも一致が見られることの方が多いとロシアは感じている。国際紛争や国内紛争の地域の縮小、大量破壊兵器およびその運搬手段の拡散の解決、テロ集団や過激派の活動の制限には、今日誰もが関心を持っている。したがって、言葉ではなく行動で、個人または集団の利己主義に勝ち、人類文明の運命に対する共通の責任を認識することが大切なのである。

 

セルゲイ・ラブロフ、ロシア連邦外務大臣 

論文全文(露語)