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アパートの内装や調度品の改装を準備していたデニス氏は、これを単なるロシア風の住居にするだけでなく、本物の伝統的なロシア式の家にしたいと考えた。彼はこれがオリジナルであると気取っているわけでもなく、その必要もない。ただ単に、自身の生活、趣味や職業につながる彼の個性を正直に反映させただけのものである。デニス氏はイコン画やロシアの民俗芸術を専門とするアンティーク商で、写本、初期の印刷書籍やアーカイブ資料の蒐集家兼愛好家としても有名な人物だ。
デニス氏は1973年にソ連のホワイトカラーの家に生まれた。高校を卒業すると、数年間をモスクワ近郊のミハイロフカの共同社会にあるロシア正教の古儀式派の教会で過ごした。教会の教育者として、彼は聖体礼儀に関する規則を教会の書庫にある古文書から学んだ。デニス氏がそのような書籍やイコン画を蒐集し始めたのはその頃だった。