スイカとロシア人

 最高のスイカの時期は8月初めだが、ほとんどの店が7月、早ければ6月には販売を始める。

 最高のスイカの時期は8月初めだが、ほとんどの店が7月、早ければ6月には販売を始める。

ミハイル・モルダーソフ
 ロシアといってスイカをイメージすることはないだろう。夏にどれだけ人気かを知ったら、驚くかもしれない。主な栽培地はロシア南部だが、国中どこに行ってもある。
 あの時期が到来した。時期とは、休暇の時期や良い天候の続く3ヶ月の時期のことではない。スイカの時期である。
 モスクワの夏の暑い日。車に乗って次の交差点までノロノロと進む。交差点を超えると渋滞はなくなり、ダーチャ(別荘)に行くまでに時間的余裕ができる。今日は土曜日。ここでスイカをいくつか買わなかったら、ほとんど犯罪だ。
 そう、片手にスイカの一切れを持っていないロシア人なんて、夏場にはありえない。ロシア人は普通、ダーチャで友だちや家族と楽しい時間を過ごし、シャシリク(バーベキュー)をして、スイカを食べる。
 夏の食べ物は、スイカなしではスムーズにいかない。なぜなら、ロシア人とスイカは、まるでロシア人とスイカのように一心同体だからだ。
 スイカの甘くてジューシーな果肉は、喉の渇きをいやし、魂をいやしてくれる。
 夏の間、メロンとウォーターメロン(スイカ)はあちこちで売っている。大都市の巨大なスーパーから田舎の小さな食料品店まで、スイカを売っていない店など夏はほとんどない。
 スイカの主要な生産地は、モスクワの南800キロのアストラハン。温かい気候は果物に最適。ここほどのメロン生産地はないだろう。もちろん、他の地域でも生産されているが。
 豊作の果物は何でも、村人の間でわけられる。写真の男性はごちそうに遅れを取るまいと、熟したスイカをガツガツと食べ始めた。
 スイカとなれば、子どもだって積極的に動く。村の少年は収穫を喜んで手伝う。大きくて丸々と太ったスイカをたくさん食べることができると知っているから。
 4月末にスイカを運んでいる女性を見たこともある。それほど良いものではなかっただろうが、理解できる。8月まで待てないのだ。