古から伝わる織物工芸

 クラヴディアさんは、オレンブルクの郊外にある2DKのアパートに住んでいる。大きな木製の織機がリビングルームの中心に鎮座している。「この織機は100年以上も前のものです。現在でこそ織機は非常に高価ですが、私はこれをただ同様で買いました。おそらく運命が関係していたのでしょうね」

 クラヴディアさんは、オレンブルクの郊外にある2DKのアパートに住んでいる。大きな木製の織機がリビングルームの中心に鎮座している。「この織機は100年以上も前のものです。現在でこそ織機は非常に高価ですが、私はこれをただ同様で買いました。おそらく運命が関係していたのでしょうね」

アニャ・イヴァンツォヴァ
 ロシアの小都市に住むクラヴディア・サブリナさんが、伝統工芸を保存する取り組みについて語る。
 「Pinterestはとても便利です。そこでいろいろなことを見つけています。それにVkontakte (Facebookに似たロシア版ソーシャルネットワーク) も好きです。 私は音楽を聴いたり、レシピを探したりチャットしています。私には独自のグループがあって "大好きな仕事を芸術の域に昇華" と呼んでいます」とクラヴディアさんは話す。
 クラヴディア・サブリナさんはモスクワで学んだエンジニアで、現在はモスクワから1,460キロ離れたオレンブルク市に住んでいる。かつては大学教授だったが、仕事が嫌になって退官した。
 「良質な道路を目にすると、自分が道路エンジニアだったことを誇りに思います。でも、オレンブルクではそう感じることがありません。この都市の道路は酷いからです」
 クラヴディアさんは、私有の小別荘がある近隣のロストシ村によく散歩に行く。「私はここの景色が好きです。何もかもが整然としていて、家屋はきれいだし、木々の手入れも行き届いています」
 彼女は独自の信念に従って生きている。他人を羨むことは決してなく、好きなことをして暮らし、今を楽しんでいる。
 「私達は自分のルーツとの繋がりを失ってしまいました。人々はいつの間にか、細道からより大きな道へと移っていきましたが、私自身は細道から離れたことがありません。ある日、何もかもが崩壊してしまうでしょう。その時にはどうすればいいのでしょう? 私たちの先祖はあらゆることを遺してくれましたが、私たちはそれらを既に忘れ去ろうとしています」
 クラヴディアさんは、15世紀風の服を縫ったり、刺繍したり、編物や織物をして、先祖から引き継がれてきた伝統を存続させようとしている。「私は正教会が自分たちの宗教だとは考えていません。私は長い間教会に通ったり、巡礼に行ったりしてきましたが、今では近寄らなくなりました。私は自然の力を信じています。私は毎朝、キリスト教伝来以前の鍛冶神、スヴァローグにお祈りしています」
 「私は "ソローカ" という帽子を持っています。古いパターンを基に自分でそれを縫い、刺繍しました。そのおかげで頭痛を防止できるので、いつも着用しています」
 クラヴディアさんは、古くから伝わる方法に従って服や生地を作っているのは自分だけで、オレンブルクでそれらに従っている人に会ったことがないという。
 「この街は、国を代表する村のようです。それぞれのコミュニティに独自の地区がある、一種の地域のようなものです。ここで私はベラルーシの人たちと友達になりました。当初はロシア人コミュニティと協働していましたが、彼らはたくさんのことを求める割には支払おうとしません。でもベラルーシ人は、私と私の作品を崇拝してくれます」
 「人生には何があるか分かりません。私は夫と、後に娘を亡くしました。娘は病気持ちでしたが、非常にすぐれた才能を持っていました。彼女は絵画がとても上手でした。辛いですよ。それでも、生きていかなければいけません」 。クラヴディアさんは運命を信じている。また、人は人生の苦悩を経験することによってより良い人になるとも考えている。

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