太陽が60日間沈まぬムルマンスク

 この都市に住む307,000人の人々にとって、この都市は故郷であり、極夜や身を刺すような冷たい風、氷の張った丘や極北ロシアの俸給はその生活の一部なのだ。 彼らはこの都市のことを「モナモルマンスク」と愛称しているが、それはこの都市の陳腐な景観が、周囲に広がるツンドラ、タイガ、山岳、フィヨルドや海といった自然の景観で十分に補われているからだ。

 この都市に住む307,000人の人々にとって、この都市は故郷であり、極夜や身を刺すような冷たい風、氷の張った丘や極北ロシアの俸給はその生活の一部なのだ。 彼らはこの都市のことを「モナモルマンスク」と愛称しているが、それはこの都市の陳腐な景観が、周囲に広がるツンドラ、タイガ、山岳、フィヨルドや海といった自然の景観で十分に補われているからだ。

セルゲイ・エルモヒン
 ムルマンスクは、極夜が40日間、白夜が63日間も続くロシアの北極圏の都市だ。
 ロシア人写真家のセルゲイ・エルモヒン氏は、冬場にムルマンスクと近郊の村々を訪れ、太陽が40日間も現れない極夜の期間中の生活の様子に注目した。
 ここ極北ロシアでは、1年が極夜と白夜に分けられている。 白夜は太陽が地平線下に沈むことなく、何日にもわたり空をずっと旋回する現象のことだ (5月22日~7月22日)。 セルゲイ・エルモヒン氏は、この期間にどのような生活が繰り広げられているかに注目した。
 ムルマンスクに住むナデージダさんは、ナイトクラブから帰宅する際に、森での茸狩りをした帰り道の老夫婦に出会ったことを覚えている。
 夜間は日中と同じくらいの明るさだが、夜の生活はいつも通りだ。 人通りのない通りを歩く若いカップル、近所のバーでの酒盛りや、議論しているタクシー運転手など、何もかもが通常想像する夜中の様子と同じだ。
 夜通しパーティーをしていた何人かの地元住民が、歩行者に時間を訊く。 午前の11時と午後の11時のどちらか、分からなくなってしまったのだろうか。
 アパートやそれなりのホテルには、日光を遮る厚手のカーテンがある。 地元住民が次のように回顧する。「子どもの頃、普通のカーテンが役に立たなかったため、母が毛布で窓を覆ったことを覚えています。 子どもが午前2時に目を覚ましてしまったら、まだ起きるのには早すぎると説明するのは大変だからです」
 「私はムルマンスクで 4日を過ごしました。 太陽が沈んでいないのに就寝するのは変な感覚でした。 この都市の様子にはびっくりしました。 夜中の1~2時に散歩をした後、自分の身体はこれから昼食の時間だと勘違いしたので、とても空腹に感じました」。セルゲイ・エルモヒン氏はこのように語った。
 地元住民は、白夜の期間中、電気代はほとんどゼロに近いという。 だが、夏の間に節約したお金は、極夜の間に費やされるのだ。
 ムルマンスクは、主に戦略的重要度の高い港湾都市であると共に、多様な輸送機関のハブとみなされており、数多くの意味でロシアに大きく貢献している。