モスクワ住宅地区のソ連崩壊後の荒涼とした景観

画家パーヴェル・オトデリノフの最新作は、モスクワ住宅地区の生活を題材とする習作で、区画化された高層ビルや、どこまでも限りなく続く送電線などを描いたものだ。
これら一連の作品は、モスクワの小地区のひとつでその3分の2が工業地帯となっているザパドノエ・デグニノ区の心理的・地理的研究の成果である。これらの作品は2014年にモスクワ現代美術館で展示されたものだ。
中心地から離れた場所にある他の地区と同様に、ここでも新たな商業や物流センターが出現しており、それらは時間の流れから独立して存在しているかのような、中央ロシア風の単調な景観の中に佇む異様な構造体である。
このアーティストはつかみどころのない現代性を捉え、新たなロシアの景観のイメージを構築しようと試みている。
パーヴェル・オトデリノフは、どこまでも限りなく続く送電線や、どこにでもある区画化されたP-44型集合団地といった、ソビエト崩壊後の荒廃地にある誰も気がつかないような現実の側面を見出す観察力を持ちあわせている。
まるで標準的な高層団地から脱皮したかのような、飛行機の格納庫に匹敵する大きさのどぎついショッピングセンターといった、誰もが注意を払わないような題材を対象として描くことで、この画家はこの大都市における生活感を醸し出している。
その作品中では、周囲の物体は移動中の車両の窓から見た単なる装飾であるに過ぎない。毎日のように何百万人もの人々がこの道を通り過ぎるが、彼らは送電線塔の間の距離を測ったりしながらも、生活の無意識的な孤独からそのような思考をすぐに追い出してしまう。
オトデリノフ氏の都市風景画に人々は含まれていない。唯一の例外は、エレベーターの中に佇む一人の人間の姿で、彼の自画像である。この画家自身の言葉によれば、それは「冷たい空虚の空間からの逃げ場を失った無力の魂」なのである。
「私の構想は、この地区の肖像を描くことではありません。というのも、この展示会には『デグニノの内面』という名称が付けられているからですが、それは何か個人的、自分の一部である何かを反映しているからです。私が求めていたのは、時間の流れを感じられるような不毛の田舎風の場所でした」とオトデリノフ氏は語った。