ヤマルの神秘的なクレーターに宿る新しい命

ロシア北極探検センターのロシア人科学者達は、昨夏ヤマル半島でヘリコプターから発見されたクレーターの底に、ようやく到達することができた。
ロシア北極探検センターのロシア人科学者達は、昨夏ヤマル半島でヘリコプターから発見されたクレーターの底に、ようやく到達することができた。ヤマル半島は西シベリアの北部にあり、北極海のカラ海に面する。クレーターは人里離れたところにあるが、ガスのパイプラインから遠くはない。陸路はなく、飛行機やヘリでしか行くことができない。
クレーターは直径およそ40メートル、深さおよそ200メートルある。クレーターの周囲の飛び散った土を見ると、面白いことがわかる。土は上からの衝撃を受けたのではなく、地中から爆発した。7月に行われた初めての探検では、クレーターの側面が柔らかく、崩れやすいため、科学者達はクレーターの底にたどり着けなかった。しかし、冬が訪れるにつれて、クレーターの側面と底面は凍り、探検隊は土や氷のサンプルを採取することができた。
ボヴァネンコフスコエ・ガス田が近くにあるため、この穴はガス田開発により引き起こされた爆発であると考えられていたが、クレーターが出来た原因は人為的なものではないと科学者達は結論付けた。
科学者たちによると、クレーターに水が溜まり、小さな湖ができる可能性も否定できない。このような湖はヤマル半島には数多い。クレーターがどのようにして出来たかは、まだ議論されている。ある説によると、地中に溜まった天然ガスが爆発を起こし、このような巨大な穴ができる事もあるという。
ロシア科学アカデミーのチュメニ・シベリア支部を率いるウラジーミル・メリニコフ氏によると、ヤマル半島のクレーターの多くは、地球温暖化の結果、2012年と2013年に出来た。「凍っていた岩層がヤマル半島では融解し始めている。所々、岩層は薄くなり、シェールガスが通り抜け始めている」。メリニコフ氏はこう説明する。
「クレーターの中に溜まった空気には、危険なガスなどは含まれない。クレーターの底にある湖にはバクテリアが存在し、新しい命が誕生する環境が整っている」。メリニコフ氏はこう語る。
採取されたデータはもっと研究し、分析される必要がある。しかし、今の段階でも、このような穴ができるということは、永久凍土が本格的に劣化している証拠であると言うことができる。ロシア科学アカデミーの石油ガス研究所副長のヴァシリー・ボゴヤヴレンスキー教授によると、ヤマル半島のクレーターに似たものはカラ海を含む、北極海の海底で観測されたことがあるが、実用的なメリットがない為、研究はされていなかった。
永久凍土とは、長期間(2、3年から数千年)連続して凍結した状態の土壌を指す。永久凍土の地下水は、凍ったままである。永久凍土の厚さは、1000メートルを超えることもある。
永久凍土には、メタンなどの温室効果ガスが大量に含まれる。二酸化炭素の温室効果が注目されることが多いが、メタンはそれよりはるかに温暖化を加速させるガスである。
ロシア科学アカデミーのシベリア部門にある地球氷雪圏研究所によると、永久凍土はなんらかの形で、ロシアの70%以上、およそ1200万平方キロメートルを覆う。過去10年間で変化は見られない。様々な推計によると、永久凍土は地球上すべての陸地の4分の1を覆う。
永久凍土はロシアだけではなく、アラスカ、カナダ、ヨーロッパ、北太平洋の島々や南極などにもある。アフリカの山脈にも永久凍土はある。永久凍土が全くない大陸は、オーストラリアだけである。