クリミア旅行からの長い帰路

クリミア半島で休暇を過ごすことにしたロシア人にとって、今年の夏の終わりから秋の始まりにかけて特に大変な時期だった。
9月上旬、数千ものロシア人家族はクリミア半島からケルチ海峡を通って家に帰った。
この時期、通常の5倍以上の乗客がここの港を通過した。あまりにも多くのロシア人が車でクリミアの港に着き、フェリーでロシア本土に戻ろうとした為、6隻のフェリーでは間に合わなかった。一日平均2万1500人の乗客と4千台の車がケルチ海峡を行き交う。
フェリーに乗る為に待つドライバーが多く、ケルチ市では全長10キロの渋滞が発生した。市と周辺の地域ではガソリンスタンドからガソリンが消え、周囲にある数少ないATMでは現金が全て引き出されたため、使えなくなった。スーパーの棚にある食料品までもが消え始めた。
渋滞は、市の大通りと市街地へ向かう高速道路の交差点まで到達した。ここから、海峡を渡るフェリーが出るクリミア港まで9キロある。渋滞に巻き込まれた人々はエンジンを切り、ドアを開けた。.
人々には活気があり、暑い時期も過ぎ去り、水と食料は豊富にある。交通情報によると、渋滞は緩和される見通しである。
「ネットで凄い渋滞だときいたので、準備してきました。インスタントのスープ、野菜や果物など、食料を沢山積んできました。石油ストーブも持ってきました。」ヴラジーミル州のパヴェル・サモドロフさんはこう語る。
ドライバー達は、寝過ごして車の列が動き始めた時を見逃してしまうことを恐れて、寝る事もできない。
時折、クリミアやロシアのナンバープレートをつけた車が港に向けてすごいスピードで逆走する。このような車は単独の場合もあれば、複数の場合もあり、回転灯を回しているパトカーに護送されている場合もある。これらは、行列に並ばなくてもフェリーに乗れる特別な人達である。
渋滞は何時間も動かないことがある。フラストレーションの溜まった乗客達とドライバー達は集まり、知恵を出し合う。彼らはやがて列に並んで反対車線を塞ぎ、港へ逆走する車が通れない様にする。
ようやく港に到着するが、ここでも何百台もの車と何千人もの人が待っている。シャワーや寝床の為にキャンバス地のテントがある。少なくとも、横になって寝ることができる。簡易トイレと簡易シャワーは頻繁に壊れるが、それでもあるだけ良いと人々は感謝している。
彼らの目的は、なるべく早く海峡を渡り、長い長いクリミア旅行から家に帰る事である。

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