カムチャツカに「月面」を見に行く

世界で最長の原野のひとつであるカムチャツカ半島は、国際時間帯の境界線に位置し、その州都であるペトロパブロフスク・カムチャツキー(ペトロパブロフスク)は、あまりにも東方に位置しているため、モスクワよりも東京やシアトルの方が距離が近い。

世界で最長の原野のひとつであるカムチャツカ半島は、国際時間帯の境界線に位置し、その州都であるペトロパブロフスク・カムチャツキー(ペトロパブロフスク)は、あまりにも東方に位置しているため、モスクワよりも東京やシアトルの方が距離が近い。

Ivan Dementievskiy/dementievskiy.livejournal.com
現在は、その名にあまりなじみがないかもしれないが、誰にとっても、どうしても行っておきたい旅行先リストの上位にあげられるべき場所だ。カムチャツカという言葉を口にすると、ロシア人なら誰でも、泡がブクブクと吹き立つ温泉や、雪に覆われた無数の火山、透き通るようにきれいな水で、夏にはサケでいっぱいになり、冬には氷と雪の厚い層に覆われ、汚染もされていない川といった光景を連想する。
1000キロも続くこの半島の大部分はあまりにも手つかずの自然であるため、地元住民は、カムチャツカには道路がなく、あるのは方角だけだ、と好んで言う。
この地域が孤立していてインフラが整っていないことは、利点であるとも難点であるとも言える。カムチャツカの自然に美と静けさを見出すことができる部分的な理由は、この地域には商業化された観光がほとんど存在しないからだ。
その裏面として、この地域には到達しにくいという難点がある。個人の(そして低予算の)旅行者にとって、旅行代理店のサービスを利用せずに、この地域の各地を見てて回るのは、最も経験豊富な冒険家でさえもほとんど不可能な話だ。
カムチャツカは、ちょっと週末を過ごしに行くような場所ではない。その巨大な遠方の地域は、じっくりと時間をかけて探索すべき場所だ。したがって、この半島までわざわざ足を運ぶのであれば、数週間滞在して、最大限の経験を楽しむ価値がある。
この半島の見どころのひとつは、圧倒的な光景をもつドリーナ・ゲイゼロフ(ゲイゼル渓谷)だ。ゲイゼルナヤ川の峡谷は、クロノツキー国立生物圏・自然保護区の一部を成しており、蒸気、水と泥が噴き出す200以上の間欠泉がある。
このあたりで参加できる数多くのウォーキングツアーでは、1日で峡谷を十分に探索することが可能だが、そのための移動費は安くない。この峡谷はペトロパブロフスクから200キロ離れており、最善の移動手段はヘリコプターだ。ツアーには軽く600ドルはかかる。
トルバチク山は、疑いなくこの半島でも最も孤立した位置にあるが、忘れることのできない美しさをもつ場所である。
しかし、このすばらしい目的地に到達するには、密集森を切り抜け、川の水上を移動しなければならない。
プロスキー・トルバチク火山は直径3キロにおよぶクレーターを誇り、数々の破壊的な噴火によって姿を消したかつての森林の跡に囲まれている。
依然として活火山であるトルバチク火山は、その周辺に月面に類似した地形を形成している。あまりに地形が類似していることから、ソビエト連邦は、月面車を宇宙に送り出す前に、その運用試験をこの地域で実施した。
時間的に制限があるなら、ペトロパブロフスクから見えるアヴァチンスカヤ火山とコリャークスカヤ火山が最も行きやすい。訓練を積んだ登山家でさえ、海抜2741メートルの高さにそびえ立つアヴァチンスカヤ山に登頂するのに約6時間は要する。一方、海抜3456メートルのコリャークスカヤ山はさらに難関で、最高レベルのハイカーでも、登頂に最低12時間はかかる。
海と周辺の緑豊かな景観、そして世界でも有数の荒野の眺めを十分に満喫すると、ロジスティック上の困難にもかかわらず、時間、労力と忍耐の価値が十分にあることは明白だ。