ウラル山脈の麓の芸術家村チュソヴォエ

スヴェルドロフスク州(州都はエカテリンブルク) のチュソヴォエ村はユニークな場所だ。その自然の美しさもさることながら、これほど小さな場所に、これほど多くの創造的な人たちが密集している居住地は他にない。
スヴェルドロフスク州(州都はエカテリンブルク)のチュソヴォエ村はユニークな場所だ。その自然の美しさもさることながら、これほど小さな場所に、これほど多くの創造的な人たちが密集している居住地は他にない。すべての始まりは約40年前のことだが、それは今でも続いている。画家や装飾品職人や彫刻家が、絶えずこの場所に惹かれてやって来るのだ。現在、この村の約40世帯がアーティストの住居になっていると推定されている。
ソ連では不動産を購入することができなかった。もしそれが可能だったとしても、そこに居住し、住民登録をしなければならなかった。しかし、ロシア・アーティスト組合の組合員は土地を持つことが許されていた。これが事の始まりだった。誰かが一人やって来ると、もう一人を誘い、その人が3人目を誘う、というふうに始まった。こうして家々が瞬く間に購入されていった。
アレクサンドル・アレクセイエフ=スヴィンキン(60歳)、アーティスト。1987以来ここに住み、2007年に新居を建て始めた。「ここにある何もかもがインスピレーションになります。単なる低木でさえも。当初、私はチュソヴォエに行くことに抵抗を感じていましたが、6月には考えを変えて行くことにしました。子供たちとその家族にこの土地を譲ることができるように、ここに永住することにしました」
オルガ・ソチュネワ(68)操り人形師。彼女は、この村で家を購入した最初の一人だった。それは37年前のことだ。「私は1962年、小学校3年生の時にプレネール(野外)写生をするためにここにやって来ました。その後は毎年ヨーロッパに行きました。何しろエカテリンブルクは違う方向の、アジア方面にありますから。チュソヴォエにアーティストがいることが、地元住民にプラス効果をもたらしています。それにアーティストのおかげで、彼らの物件が荒廃しなくてすみますから」
ボリス・クロチュコフ(65)モニュメント・アーティスト。1980年以来チュソヴォエに在住。「主なモニュメントは、家の周囲に20年前に植えられた樺の木々です」
ヴェーラ・コシャンコフスカヤ(62)、画家。オルガ・ソチュネワさんの招待に応じて25年前にチュソヴォエにやって来た彼は、次のように回想する。「私はサンクトペテルブルクからやって来て、10年間郷愁を抱きながら暮らしましたが、その後はチュソヴォエでの生活に慣れ、ここが自分に合った場所なんだと感じるようになりました。子どもたちのために、土地も一画購入しました。この場所は彼らにとっての故郷なんです。ペレストロイカの最中、アーティストたちはジャガイモを植え始め、共同で自動車を借りて都会まで収穫を売りに行ったものです。アーティストたちの共同農園のようなものですね」
アレクサンドル・ミロシュニコフ(58)、宝石、宝飾品アーティスト。1989年以来チュソヴォエに在住。「チュソヴォエの自然は、思わず息を呑むような美しさです」
エリザベータ・マネローワ(52)、装飾芸術アーティスト。チュソヴォエに在住して10年。「我が家の経歴はかなり典型的です。廃屋で、庭の境界にはイラクサが生い茂って立ち入れないほどでした。孫たちは「チュフソヴォエ」と言いますが、それは「チュフストゥヴォ(気持ち)」という言葉に似ているからでしょう。プレネール(野外写生)に適した場所があちこちにあります。そんな場所は都会にはどこにもないでしょう?」
イリーナ・マネローワ(21)、モニュメント芸術の学生。「11歳の時に両親とここに来て、ここに「おうちを買ってほしい」と頼んだんです」
セルゲイ・ピンチュク(57)、装飾芸術アーティスト。20年以上も前にチュソヴォエにやって来た。「ここに来て、ここに住もうと決めたら、いい人たちばかりに囲まれていました。私は、3枚の壁と朽ちた屋根だけの状態にあったこの家を購入しました。装飾芸術家の仕事は独りで行うものです。ここの人たちは一人で座って、遠くをぼんやりと見つめています。でも私の場合、ここではあまり仕事をする気分にならないので、無理にすることはもうありません」
タチアナ・パヴローワ(71)、芸術家イーゴリ・パヴロフの未亡人。1982以来チュソヴォエに在住。「まるでビジネスのようです。誰かが事業を立ち上げると、すぐに家族や知人がやって来て、その機会に同乗するために同じ道をたどり始めるんです。都会では展示会や仕事のせいで、お互いに会うことはないので、そのような機会は夏まで待ちます。主人は夏は絵を描いて過ごし、プレネールのワークショップを催すことがよくありました。それにはロシア中からアーティストがやって来たものです」
チュソヴォエで芸術活動に従事する人は少ない。アーティストたちは、基本的に創造性のバッテリーを充電するためにここにやって来るが、胸一杯に新鮮な空気を吸い込むと、すぐに都会の生活に戻っていく。それは展示会と仕事でいっぱいの生活だ。とはいえ、チュソヴォエは、アーティストの仲間たちと顔を合わせる格好の機会なのだ。都会にいる限りは、彼らは1年間お互いに顔を合わせないこともあるが、この村では、彼らは庭の花を交換しあったり、一緒にお茶を飲んだりして過ごす。