チェリャビンスク州のカラバシュ市が、世界でもっとも汚染された街としてユネスコに認定されたと、多くのメディアが伝えている。同市の市長や市政府は、メディアがこの事実を証明する書類の名称も日付も一切伝えていないとして、認定を否定している。
Sergei Kolyaskinだから、この件については肯定も否定もできないが、環境調査は恐ろしい数字を示している。
Sergei Kolyaskin「1年以上に渡り、私はこの”もっとも汚染された街”を研究した。地球人の活動がもたらした結果を社会に見せることが、この(撮影)プロジェクトの目的だ。プロジェクトではカラバシュ市だけでなく、人の手によって汚されたロシアの他の地域も扱って行きたい」と写真家のセルゲイ・コリャスキン氏は話す。 プロジェクトは大規模で、差し迫った問題をぶつけている。
Sergei Kolyaskinカラバシュ市 は、州都チェリャビンスク市の西約85kmに位置する、人口1万5000人(2012年)の街だ。1970年代には6万人の住人がいた。タタール人の古い 定住地に、砂金鉱床発見後の1822年、カラバシュができた。カラバシュとは、タタール語で「黒い頭」を意味する
Sergei Kolyaskin20世紀初めに、カラバシュで銅採掘が 始まった。銅鉱石の採掘と製錬が数十年間続けられた後、街は環境破壊著しい場所に変わった。ソ連時代は環境問題がさほど重視されていなかったため、コンビナートには当初処理施設がなかった。
Sergei Kolyaskinコンビナートは100年の間に、周辺の広大な地域にスラグをまき散らして焼き焦がした。年間180トン以上のガスを大気に排出し、それが酸性雨となって周辺地域に降り注ぐ。
Sergei Kolyaskin鉱石に含まれる銅は1%以下。銅1トンを採取するために、100トンの岩を加工しなければならない。銅採取後には、数千トンものスライムが残る。スライムは工場近くに廃棄され、廃石バンクができあがる。
Sergei Kolyaskinだがこのバンクが一番恐ろしいわけではない。はるかに危険なのが酸性雨だ。銅製錬の詳細に触れるまでもなく、硫化物となった銅の鉱石を採掘していることで 明らかだ。還元する際に二酸化硫黄ガス(SO2)が発生する。すると大気中で硫酸(H2SO4)になる。むろんこれは98%の酸ではない。人間は酸性雨の 酸を感じとることができない。だが、これが常に降り続ければ、植物はすべて枯れてしまう。植物がなくなると、雨と風が土壌を素早く洗い流してしまう。
Sergei Kolyaskin山は 岩に変わり、その岩の表面を見ると化学的侵食の跡が残っている。街の境界に位置する山は、完全に森林の被覆を失っている。カラバシュのルィサヤ山(禿山)には、「救って守れ」という岩文字がある。この文字のわきには、 金属製の桁材でつくられた高さ25mの十字架がある。十字架の表面には鏡が張られており、日の出と日の入りの際に光る。
Sergei Kolyaskin地元のサク・エルガ川は、水中で鉄の過飽和が起こり、黄色くなっている。氷も明るいオレンジ色に染まっている。鉄含有率は標準の500倍にもなる。
Sergei Kolyaskin河岸は100mに渡って何も生えていない。川はカラバシュから、チェリャビンスクの糧となるアグラジ貯水池に流入している。カラバシュの主な部分は村のように見える。癌、湿疹、腎臓結石、出生前発達異常、精神遅滞、脳性まひなど、遺伝的疾患や後天性疾患の発症率が極めて高い。
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