日本とロシアの諺:足下から鳥が立つ

突然、思いがけない出来事が身近なところで起きること、あるいは、急に思いついて何か物事を慌しく始めることをいうのが、この諺だ。

 

画像提供:スヴェトラーナ・ゴンチャローワ 

 人がそれと知らずに鳥の巣に近づくと、いきなり飛び立って、人間のほうがびっくりするという状況だから、いかにも慌てふためいた感じがする。

 ロシアの諺でこれに近いものというと、「青天の霹靂」(Как гром среди ясного неба.)だろうか。意味は、文字通り、晴れわたった空にいきなり雷鳴が轟くように、予想外の事件が突発することで、日本を含め、各国にある。例えば英語では、「Like a bolt from the blue」

 ロシアには、「ばあさん、これがユーリイの日と来たもんだ!」(Вот тебе, бабушка, и Юрьев день!)というのもある。「ユーリイの日」は、「聖ジョージの日」に当たるロシア正教の祝日で、中世ロシアでは、その前後2週間だけは、農民に自由な移転が認められていたが、16世紀末に全面的に移転が禁止されてしまった。指折り数えて嫌な領主から逃げる日を待っていたところが、あにはからんや…という訳で、予想外な不快事を意味する。 

 さて、これらのロシアの諺の意味を見ると、日本の「足下から鳥が立つ」と大差ないようだが、日本で定着しているほうの「青天の霹靂」は、なかなか奥が深い。

 こちらは、中国の陸游(1125-1210)の詩『九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る』にある「青天に霹靂を飛ばす」とあるのが起源だ。

 病床に呻吟していた詩人がある日、酒に酔った勢いで、詩を一気に書いてしまった。まるで龍が一気に天に昇り、雷を轟かせるようだった、と言う。いきなりどこからともなく湧き上がる爆発的生命力と、そこはかとないユーモアが感じられる。

 

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