1. オルロフ・トロッターはおそらくロシアの最も有名な馬の品種で、確実にトロイカ (三頭立ての馬車) に最適な品種だ。ペースとスタミナの面で傑出しているこの品種が作り出されたのは、18世紀後半のことで、エカチェリーナ2世のお気に入りだったグリゴリー・オルロフの弟であるアレクセイ・オルロフ伯爵によってである。この品種の先祖はアラブ種の種馬のスメタンカで、これは当時の物価では驚異的な6万ルーブルで、オルロフがトルコのスルタンから買い取ったものだ。その後スメタンカはデンマーク、オランダとドイツの荷馬車馬と掛け合わされ、その結果、アラブ種の優美さとヨーロッパ種の頑丈さを持ち合わせた品種が生まれた。
Lori/Legion Media撮影2. ロシアのコサックとこの馬は切っても切れない縁にある。ロシアン・ドンは長い間、伝説的なコサック騎兵隊の立役者として活躍した。強力で頑強、そして控えめな性質をもつこの馬は、遊牧民の生活様式にぴったりだ。今日、この馬は乗用馬として、4頭の馬が並んで曳く馬車のタチャンカで使われることが多い。
Shutterstock/Legion Media撮影3. ヴャトカ馬は、ロシアで最も古い品種の一つだ。立派な外見のオルロフ・トロッターが登場するずっと前の時代に、広大なロシアの大地でトロイカを牽引していたのはヴャトカだった。頑強で温厚なこの働き者は、ロシアの農村で歓迎された。だが、10月革命後、この品種の人気が落ちた。現在ではFAO (国連食糧農業機関) の絶滅危惧種リストに加えられている。
Wikipedia.org撮影4. 優雅で力強いロシアン・サドルは、19世紀のロシア貴族が最も好んだ馬の品種だった。10月革命とロシア内戦後、この種は絶滅しそうになった。だが、1980年代にモスクワのチミリャーゼフ農業大学は、この品種を再び作り出した。この現代の品種はトラケナー、アラブ種の馬アハルテケとオルロフ・トロッターを掛け合わせたもので、特に馬場馬術でその見事な本領を発揮する。
Getty Images撮影5. ロシアの10月革命の精神を反映するものがあるとすれば、それは強烈なブジョーンヌイ種の馬だろう。伝説的なボリシェビキ騎兵隊指揮官セミョーン・ブジョーンヌイによって育種されたこの馬は、ソ連騎兵隊の主な原動力となった。筋骨たくましい外見のブジョーンヌイは現在、多目的の競技用馬として幅広く使用されている。
Shutterstock/Legion Media撮影6. ソビエト重輓馬 (ヘビードラフト) は世界で最も強力な馬の一種だ。1972年に、ソ連の種馬フォルスは、23トン近い重量を35メートル牽引して世界記録を達成した。これは生産性向上の立役者、アレクセイ・スタハノフでもとても無理な話だろう。
Shutterstock/Legion Media撮影7. 主に自然淘汰によってできたヤクート馬は、長く過酷な氷点下の期間でも生存できるほど強靱な種である。15センチもある毛のため、マイナス60℃近くまで下がる冬の間でも、ずっと屋外で過ごすことができる。ヤクート人の馬の所有者たちは、この馬の餌のことをあまり気にかけない。この馬は、多量に積もった雪の下にある草をかき集めて食べることができるからである。
Wikipedia.org撮影8. 強力で頑丈なバシキール馬は、ステップの王様である。ロシアのウラル地方南部に住むバシキール人がこの馬を重宝するのは、それが驚異的な耐久性を持ち合わせているからだけでなく、その馬のミルクからクミス(馬乳酒)と呼ぶ、バシキール人の民族的飲料が作られるからでもある。
Shutterstock/Legion Media撮影9. ロシアン・トロッターは、ロシアで最も一般的にみかける馬である。公式に認定されたのが1949年と比較的新しい品種のロシアン・トロッターは、オルロフ・トロッターとアメリカン・スタンダードブレッドを掛け合わせた結果できた種だ。
Alamy/Legion Media撮影ロシア・ビヨンドのニュースレター
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