ロシアに生息するヒョウ

Russia Beyond (Photo: Tom Brakefield, Tom Walker/Getty Images; Ilya Naimushin/Sputnik)
 そう、ロシアにも本物のヒョウがいるのである。しかも1種類だけでなく、何種類も。ではそんなヒョウはどこに生息していて、どんな違いがあるのだろうか?

 ロシアでトラに遭遇する確率がどれくらいあるのかについては、以前お伝えした通りだが、ではヒョウはどうだろうか?実はロシアには3種類ものヒョウが生息している。そしていずれも非常に希少なものである。

アムールヒョウ

 これは世界でもっとも北に住むヒョウで、熱帯雨林よりも通行不能なタイガや沿海地方の柔らかな雪を好む。外見はアフリカのヒョウよりも1.5倍小さい(体重は50キロ以下)が、優雅さは劣らず、またまだら模様も美しい。研究者たちは、毛皮の模様で個体を特定している。

 アムールヒョウの黒いまだらは冬になると色が薄くなる。これは沿海地方の冬により自然に同化するためである(とはいえ、毛皮の色が鮮やかであっても、獲物であるノロジカを捕まえるのを邪魔することはない。ノロジカはモノクロの世界に生きている)。

 アムールヒョウは、長い間、密猟の対象となっていた。しかし、1956年に狩猟が禁止されてからも、アムールヒョウは絶滅の危機に瀕している。

 アムールヒョウは現在130頭ほど生息している。ロシアにいるのは120頭で、主に国立公園「ゼムリャー・レオパルダ(ヒョウ・ランド)」の敷地内に住んでおり、残りはロシアとの国境地帯である中国に暮らしている。その中には、一つの国から別の国へと移動しているヒョウもいる。ビザは要らない。ビザの提示を求める者もいないのだから。

ペルシャヒョウ

 このヒョウは山岳地帯に住んでいる。とくに斜面や石の多い場所を好む。最近まで、ペルシャヒョウ(またはカフカスヒョウとも呼ばれる)は絶滅種と考えられていた。かつてはカフカス地方や中央アジアにも生息していたが、1950年代に事実上、姿を消した。 

 ロシアで個体数が回復し始めたのは2006年になってからのこと。まだペルシャヒョウが残っていたトルクメニスタン、イランの自然界から、またポルトガルとスウェーデンの動物園から、ソチの国立公園に数頭が運ばれた。そして、ヒョウは交配し、その子孫がチェチェンや北オセチアで確認された。ちなみに、北オセチアの紋章にはこのヒョウが描かれている。

 現在カフカスには13頭のヒョウがいる。さらに3頭がソチ、5頭が北オセチア、1頭がカバルダ・バルカル共和国に生息している。ペルシャヒョウは、アムールヒョウより少し大きめで、冬になると毛皮はグレーがかった明るい色になる。まだら模様は黒ではなく、茶色である。

ユキヒョウ 

 ユキヒョウは山岳地帯に分布している。もちろん、ネコ科の動物というものは概して、上に登るのが好きなものであるが、ユキヒョウは過激なツーリズムの愛好家でさえ誰もが登れる場所ではないところに住んでいる。まだら模様の野生のユキヒョウは天山山脈、パミール高原、アルタイ山脈など、海抜1500メートルから1600メートルの高度の場所に生息している。

 ロシア国内では、シベリア南部、東サヤン山脈、アルタイ地方に分布する。世界にはわずか数千頭のユキヒョウしか残っておらず、いずれの場所でも国家によって保護されている。

 ユキヒョウたちが山を駆け回る姿はこちらからどうぞ>

 

 ロシアの別のヒョウと同様、ユキヒョウもまた野生で見ることはほぼ不可能である。ユキヒョウは希少な存在である上、隠れるのが好きであるためだ。ユキヒョウには長さ1メートルもの長い尾がある。そしてこの長い尻尾を口にくわえる面白い習性がある。どうしてこのような習性があるのかについてはこちらからどうぞ

おまけ:アムールヤマネコ(ツシマヤマネコ)

 このかわいいヤマネコは沿海地方にある中国との国境地帯にあるハンカ湖のほとり、そして国立公園「ヒョウ・ランド」に住んでいる。アムールヤマネコは、小さなヒョウのような姿をしていて、れっきとした狩猟者さながら狩りに出る。

 自然界でこのヤマネコを見るチャンスはほとんどない。というのもこのヤマネコも非常に珍しい種だからである。それでも、ガチョウや鶏の数がたくさんいるときには、人間がいるところに現れることもある。ただ、大切なことは、絶対に飼い慣らそうなどとしないこと!詳しくはこちらからどうぞ

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