ロシアのおじいちゃんの何が特別なのか?(写真特集)

Georgy Zelma/Sputnik
 ロシアのおばあちゃん、いわゆるバーブシカはすでにミームにもなり、文化現象にもなっている。ではおじいちゃん、つまりジェードゥシカはどうだろう。このお年寄りたちにだって、世界に向かって発信したいことがある!

 ロシアのおばあちゃんについての記事を読んだある読者から、「おじいちゃんの話も書いてくれれば嬉しいのに!」というリクエストをいただいた。この読者の方の一言は聖なるものである。というわけで、さっそくおじいちゃんについてご紹介していこう。

ジェードゥシカとは?

ソ連国旗とレーニンの肖像画を手にした年金生活者。革命の指導者であるレーニンはソ連時代、「ジェードゥシカ」の愛称で親しまれた

 ロシア語の「ジェードゥシカ」は文字通り、「おじいちゃん」という意味である。「ジェードゥシカ」という言葉の語源は「ジェッド」、つまりロシア語で祖父という正式な単語である。この「ジェッド」は広い意味で「高齢の男性」を指し、これはロシア語の「スタリーク」(お年寄り)と同義語である。

 指小辞である「ジェードゥシカ」は、孫(とくに小さい子ども)がおじいちゃんを呼びかけるときの言葉として一般的なものになった。大人が自分の祖父を呼ぶときには、「ジェッド」と言うのが一般的である。

ロシア版サンタクロース、ジェッド・モローズ

 もしかすると、「ジェッド・モローズ」のことは聞いたことがあるかもしれない。これはロシア版のサンタクロースである。そして、ロシアのジェッドはロシアのおとぎ話の主人公としてもよく描かれている。その場合は、孫娘を1人で育てているという優しいおじいさんという設定であることが多い。あるいは年老いた優しい魔法使い、あるいは気難しい妻に虐げられているかわいそうなおじいさんという場合もある。

外見はいかついが内面はソフト

 現在のジェードゥシカのほとんどは、男性と女性が伝統的な役割を持っていたソ連で育った。つまり、女性は家庭を守り、料理をし、子どもの世話をし、男性は家計を支え、仕事に励んだ(実際には、女性も男性と同じように働いていたのだが、同時に女性の主な仕事は主婦としての仕事だと考えられていた)。そこで、バーブシカは子どもの世話をするのが大好きな一方、ジェードゥシカはそうでもないというのは驚くべきことではない。

おじいちゃんは釣りが好きです

 セルゲイ(63)は昔を回想して、「おじいちゃんはほとんど話しませんでした。夏になると、祖父母の家に遊びに行ったものですが、彼の日常生活を乱す(そして、バーブシカの時間と注意のすべてを奪う)ので、迷惑がられていたと思います」と話す。

 ロシアのおじいちゃんは、アネクドート(小噺)やおとぎ話の主人公としても知られる。一般的に、おじいちゃんは、「うるさい子どもたち」(+自分の妻の子どもへの気配りのレベル)に迷惑している。またジェードゥシカは概して、赤ちゃん言葉や甘やかしが大嫌いである。おじいちゃんが子どもに対して優しさを見せるのは、生まれたばかりのときか幼児の間だけである。しかし、その後は、家の中がきちんと管理されるようになり、おじいちゃんは孫を甘やかしすぎないよう気をつけるようになる。

ジェードゥシカは小さな子ども、小さな女の子にしか愛情を示さない

 ほとんどのロシア人が自分のおじいちゃんを思い出すとき、黙ってタバコを吸い、1人で釣りをするか、キノコ狩りをする姿を思い浮かべる。カーチャ(32)は、「わたしのおじいちゃんは毎朝、新聞を読んでいたのですが、その間は、わたしが逆立ちをしていても、まったくわたしのことは目に入っていませんでした」と話す。

 しかしにもかかわらず、多くのジェードゥシカは第二次世界大戦やソ連史における厳しい社会的な変化を経験しており、それらを回想したり、話をするのが好きではない。彼らは、戦勝記念日には、静かにウォッカを飲み、亡くなった友を思い出す。 

戦勝記念日を祝うとき、ジェードゥシカたちはもらったすべての勲章を身につける

 しかしながら、驚くほどタフに見えるジェードゥシカたちも、心は優しい。オリガ(50)は言う。「不思議なことに、ジェードゥシカはわたしを甘やかしたことは一度もないのだけれど、おばあちゃんに叱られそうになると、必ずわたしの味方になって、守ってくれたんです」。「そして、ティーンエイジャーになってからは、おばあちゃんはいつも心配して、早く帰ってくるように注意したものですが、おじいちゃんはおばあちゃんに、楽しませてやればいいじゃないかと言ってくれました」。

バーブシカとジェードゥシカが揃えば、最強のタッグである

 おじいちゃんは見かけはかなりタフであるが、おばあちゃんに対しては大きな愛情を持っている(もちろん、人前でそれを見せることはない)。おばあちゃんがおじいちゃんよりも先に亡くなったとき、おじいちゃんはその悲しみから、その後まもなくして亡くなると言う話をよく耳にするのもそういう理由からである。

ジェードゥシカの愛の形

 バーブシカは孫に対し、完全で絶対的な愛情を注ぎ、常にいろいろなものを食べさせ、優しく接し、風邪をひかないよう服装にも常に気を配る(ちなみに、ロシア人が石など、冷たい場所に座るのを恐れ、すきま風で風邪をひくのを怖がるのは、おばあちゃんが常にそれを繰り返し注意していたからである)。

モスクワのスパルタク・サッカー・スタジアムにて、おじいちゃんと

 しかし、ジェードゥシカは違う。歴史を通じて、ロシアの男性は温かい関係も優しさも知らない。ロシア文学に登場するもっとも分かりやすく、もっとも現実的なおじいちゃんの描写は、マクシム・ゴーリキーの自伝的小説「幼年時代」で見ることができる。そこに登場するのは、大家族の長で、家のことをすべて取り仕切る一般的なロシアのおじいちゃんである。彼は賢く、信念を持ち、孫たちに良い行いというものを教え、間違ったことをすると孫をぶつ。

 そしてこれは、ジェードゥシカの愛情表現なのである。彼らは孫が立派な大人に育ち、自分の生活や振る舞いを抑制できる人物になることを願っているのである。

 もちろん、時代は変わったが、今のジェードゥシカの多くはソ連時代に育っており、しつけのために頭をピシャリと叩くのがなんら悪いことだとは思っていない。それはおじいちゃんたちが恐ろしい虐待者だからではなく、そのように育った世代のロシア人男性だからである。ハグはしなくとも、頭をぴしゃりと叩くことはあるのである。

ジェードゥシカは困りごとに耳を傾け、解決策を教えてくれる

 一家の稼ぎ手としての役割を忘れてはいない現代のジェードゥシカは、お金で愛情を表現する。バーブシカが、子どもたちがおいしいご飯を食べているかを心配し、冬にはちゃんと帽子をかぶっているかチェックする(子どもが何歳であっても!)一方で、ジェードゥシカはどちらかというと、道徳的、経済的にサポートする。おじいちゃんは、すべてがうまくいっているか尋ね、必要があればアドバイスをくれ、子どもがより快適な生活を送れるようお小遣いを与えてくれる(それをバーブシカには言わない!)。

ジェードゥシカが、バーブシカより話題にのぼらないのはなぜか?

 ロシアの女性は、平均的に、男性より長生きをし、統計上でも、単にバーブシカはジェードゥシカより多いのである。2021年の男性の平均寿命はおよそ65歳であるのに対し、女性は74歳に近い(この数字は1990年代からほとんど変わらない)。

 同時に、激動の20世紀、多くのロシアの男性が戦争や粛清により、死亡した。そしてその結果、残された数百万の女性が1人で生活し、家事をし、子ども(そして孫)を育てなければならなかった。

ジェードゥシカとはいつでもクスクス笑うことができた(おばあちゃんの話をしたりして)

 旧ソ連圏では、ジェードゥシカを見たことがないという家庭がたくさんある。多くの男性が第二次世界大戦で命を落としたからである。そんなわけで、ロシアでは、この戦争の記憶が今でも非常に強い。あるいは、ジェードゥシカたちは何年も厳しい労働を強いられ(収容所での生活を送った者もいた)、健康を害し、若くして亡くなることも多かった。

 セルゲイは付け加える。「ジェードゥシカのいない人たちは、ジェードゥシカのいる人をいつでも羨んだものです。おじいちゃんがいるというのは、家の中に本物の男性がいるということだと考えられました」。「隣の家におじいちゃんがいて、薪の割り方を教えてくれたり、釣りに連れて行ってくれたのはラッキーでした(ただし、あまり喋るなと言われましたが)」。

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