ロシアにルーツを持つ西側の億万長者5人

 その昔ロシア帝国やソビエト連邦から国外に移住した人々の子供たちが、新たな祖国で巨万の富を築いた。

 2022年のフォーブス長者番付には90人ほどのロシア人が名を連ねた。しかし、世界的に知られる西側の億万長者の中にも、ロシアにルーツを持つ人々がいる。

1. セルゲイ・ブリン

 グーグル創業者の一人は1973年にモスクワの数学者の家族に生まれた。ブリンの家族はセルゲイが6歳の時に米国に移住した。彼が再び故郷を訪れたのは1990年のことだったが、故郷と疎遠になっていたセルゲイにとって、崩壊間近のソ連はさほど印象的ではなかった。

 ブリンはラリー・ペイジとともにインターネットの検索エンジン、グーグルを創設した。2人ともスタンフォード大学の卒業生で、自分たちのスタートアップを世界最大の会社の一つに変貌させた。ブリンは米国籍を取っている。

 フォーブス長者番付2022によれば、セルゲイ・ブリンは1070億ドルの純資産を有し、フォーブスのランキングで7位に位置している。

2. ハリー・トリグボフ

 1933年に中国に住んでいたロシア人の両親のもとに生まれたトリグボフは、十代の頃にオーストラリアに移住した。1960年代前半、トリグボフは建設会社のメリトンを設立し、シドニーの不動産市場に革命をもたらした。伝統的に一戸建てが支配的だった街において、彼は集合住宅やマンションの開発の先駆者となったのだ。

 メリトン社はオーストラリア東岸に約76000棟のマンションを建てている。「高層ハリー」の異名を持つトリグボフは、128億ドルの資産を持ち、フォーブスの長者番付では144位にランクインしている。

3. バーナード・マーカス

 ホーム・デポ創業者は1929年、ニューヨークに移住したロシア系ユダヤ人の両親のもとに生まれた。マーカスは医師になりたかったが、家族に学費を払う余裕はなく、青年は薬剤師の勉強をした。しかし結局ビジネスに興味を持つようになった。

 マーカスは地元の金物店での仕事を失った後、仲間とともにホーム・デポを創業し、これを米国最大のリフォーム小売チェーンに成長させた。

 マーカスの純資産は87億ドルだと言われている

4. ラルフ・ローレン

 ファッション帝国ラルフ・ローレンの代表取締役会長兼CEOは、ニューヨークのユダヤ人移民の家庭に生まれた。両親はロシア内戦の最中に米国に移住した。

 ローレンが米国のファッション・ビジネスに参入したのは、ネクタイ・メーカーを立ち上げた時だった。彼の会社はやがて世界最大のファッション帝国の一つに成長した。

 ローレンが生涯で初めてロシアに来たのは2007年のことだ。ファッション誌『ヴォーグ』のコラムで彼はこう綴っている

 「聖ワシリー大聖堂の黄金の丸屋根が背後で煌めき、クレムリンに向けて輝きを放つ中、私は赤の広場に立ち、息を呑んだ。生まれて初めて、両親が生まれた国とのつながりを感じたのだ。『ロシアのルーツ』は虚無な言葉ではない。このつながりが作用し、私はその力を感じたのだ。私は衝撃を受け、全く新しい感覚に魅了されていた」。

 フォーブスによれば、ローレンの資産は69億ドルだ。

5. イーゴル・オレニコフ

 イーゴル・オレニコフの家族は第二次世界大戦後にソ連を出てイランに移り、1957年に永住先として米国に渡った。

 南カリフォルニア大学の卒業生であるオレニコフは16軒の住宅を購入し、不動産会社オレンを創立した。彼の不動産ビジネスは大きく成長し、カリフォルニアと米国の4つの州で800万平方フィートのオフィスと15000戸の住宅を有している。

 2007年、オレニコフは納税の際に虚偽申告をしたことを認め、罰金5200万ドルを支払った。

 フォーブスによれば、彼の資産は47億ドルだ。

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