「バケツ帝国」:モスクワにある日本のレトロカー博物館(写真特集)

Natalia Suslina
 懐かしい昭和の香り漂う日本のレトロカー・コレクション!

 モスクワ南東のジュレビノ地区の自動車の整備センターと洗車場の間に、日本の「クラシック」カーファンにとっては天国のような場所が隠されている。敷地内には昭和後期に製造された57台の自動車が集められている。

 これはモスクワで唯一の日本製自動車の博物館で、名前は「バケツ・エンパイア(バケツ帝国)」。この名称は、ロシアでは、誰にも必要とされない古い自動車を「バケツ」と呼ぶところから来ているのだが、ここに集められている自動車は「バケツ」とはとても呼べないものである。

 博物館には、1977年から1993年に販売されていたマツダ、日産、ホンダ、スバル、トヨタの自動車が展示されているが、すべて良好な状態のものばかりである。 

 日本の自動車の博物館を作ろうというアイデアを2019年に思いついたのは、イーゴリ・コズロフさん。イーゴリさんはずっと自動車が大好きで、とりわけ「クラシック・カー」に興味を持っている。

 「(モスクワには)ソ連の自動車、アメリカの自動車の博物館というのもはありますが、日本の自動車博物館はなかったんです」とイーゴリさんは言う。そこで、イーゴリさんは投資家を集めて、博物館を作ろうと決意した。展示品のベースとなったのは、自身が所有していた10台の日本製の自動車だった。

 ロシアの中古車市場では、壊れた日本製の自動車を2万〜4万ルーブル(およそ3万〜6万円)で見つけることができる。イーゴリさんのような自動車好きの人たちは、こうした自動車を購入し、修理するという。部品を手に入れ、走れる状態に戻すのである。

 バケツ帝国には、イーゴリさん以外の人が所有する自動車も置かれている。カーマニアたちは、有料で、自分の自動車をこの博物館に預けるのだそうだ。

 博物館の中は一定の温度が保たれており、寒いロシアではとても重要な保管場所だからだという。ここに預けることができる条件は、1990年までに日本で製造、販売されたということだけである。ここで保管された珍しい自動車は、希望者全員に公開され、写真撮影も可能となっている。

 イーゴリさんは日本製自動車の所有者の中には、デザイナー、ロシア鉄道の職員、写真家、政治家、フリーランサー、そして航空機製造に携わる人もいると話す。

 博物館を開いたイーゴリさんはここで、非常に珍しく、非常に価値のある自動車を展示している。たとえば、ドリフトカーの原型であるトヨタのトレノ。アニメ「頭文字D」の主人公が乗っている車である。また、1979年に製造されたスバルのブラウンのレオーネも非常に珍しいもので、ロシア全土に2台しかないレアものである。

 博物館にある自動車は映画の撮影にも使用されている。たとえば、最近公開された、1978年のチェスの世界王者を決めた試合をテーマにしたロシア映画「世界チャンピオン」にも博物館の自動車が登場している。

 博物館では、日本の通りが最大限に再現されている。天井には赤い電灯や日本のカフェの看板が吊るされ、壁はネオンサイン、そして鯉などの日本的なモチーフを題材にしたグラフィティなどで飾られている。

 またここでは自動車以外に、アニメのフィギュアと自動車の模型の展示も行われている。入り口には売店があり、Tシャツやキャップ、シールやカスタムされたレーシングカーの模型などを買うことができる。敷地内には、ラジコンカーのドリフト用の競技コースが作られている。

*住所:モスクワ、タシケンツカヤ通り291

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