ロシアの「スプートニクV」はどこに供給されているのか?誰がこれを支援しているのか?

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 ロシア製ワクチンは高い需要があり、世界46カ国に輸出されている。数100万回分のワクチンは一体どこに運ばれているのか、ロシア・ビヨンドが調査した。

 世界で初めて承認されたロシア製の新型コロナワクチン 「スプートニクV」は、世界でもっとも需要のあるワクチンの一つとなった。ヨーロッパとアメリカがロシア製ワクチンに対するゴーサインを出せずにいる間に、世界の途上国からは大規模な注文が殺到している。現時点では、世界のおよそ70カ国がワクチンを承認し、その半分以上がロシアとの間で供給の契約を結んでいる。

 しかし、ロシア製ワクチンの供給についての情報は公にはされておらず、契約の詳細も明らかにされていないため、その状況は「スプートニクV」の開発に資金投資を行ない、ワクチンの国外でのマーケティングに責任を持つロシア直接投資基金の発表と、メディアで報道される在外大使館や政府高官の発言によってしか判断することができない。

 7月16日の時点で、ロシア・ビヨンドは46カ国への輸入の契約についての報道を見つけることができた。注文の規模は1,000万回分から1万回分までとばらつきがある。以下が主要な「スプートニクV」の輸入国である。

 今のところ、供給の合意を交わしたほとんどの国が、計画した量のほんの一部しか供給を受けていない。すでに供給された量がもっとも多いのがアルゼンチンで、少なくとも発注分の33%を受け取っている。供給分は15回の輸送で送られ、最初の輸送は12月の末、最近の輸送が6月30日に行われた。

 ロシア直接投資基金は2021年に、8億9,600万回分のワクチンを国外に供給する予定である。しかし、メディア分析会社がまとめた最近の計算によれば、ロシアがこれまでに国外に輸出した「スプートニクV」の供給量は、1,700万回分である。そのうちのどれくらいが1回目の分で、どれくらいが2回目の分かはほぼ明らかにされていない。そしてこれは計画分の1.8%にすぎない。 

 多くの国がすでにロシアからのワクチンの供給の遅れに不満を表明している。たとえば6月30日、グアテマラはワクチンの対価として支払った費用の返金を求めた。グアテマラが要求しているのは、1,600万回分のワクチン代金の前金50%で、額にして7,900万ドルである。実際、グアテマラには、15万回分、つまり契約した量の1.87%しか供給されていない。グアテマラのマリア・アメリア・フローレス保健大臣は、「わたしたちは返金を求めています。今後、ワクチンを輸出する可能性が出てくれば、供給分の支払いをしたいと思っています」と述べている

 しかし、ロシア直接投資基金は、すべて計画通りに進んでおり、ロシア側のすべての義務は遂行されると言明している。また直接投資基金は、ロシア国内の需要が完全にカバーされ、生産能力がさらに上がれば、輸出量を増加させることができるが、それまでは国内市場が最優先されると述べている。ドミトリエフ総裁はさらに、「ロシアにおけるワクチンの集団接種が終われば、ロシアは輸出に切り替えていく」とも指摘している。ちなみに現在ロシアでは、およそ5,100万人が接種を終えている

 外国への供給のもう1つの方法は国外での製造である。ロシアは、国内だけで製造を行なっている限り、物理的に輸出の需要をすべて賄うことはできない。そこで検討されたのが別の方法である。それは、ワクチン製造のライセンスを売って、国外で製造するというもの。開発分析会社RNCファーマのニコライ・ベスパロフ社長は、そうすることによって、工場建設や輸送の費用も抑えることができると述べている。そして他でもないこの方法によって、自国の義務を「果たす」ことを計画している。

 今のところ、ロシアは15カ国とワクチン製造に関する合意を結んでいる。ロシアのライセンスを受けて製造を行なう主要な国となるのがインドで、外国での製造分のおよそ60%がインドで作られる。一方、東洋諸国でのハブとなるのはイランである。

 ロシアが「スプートニクV」の輸出でどれほどの利益を上げることができるのかは、契約内容が明らかになっていないため不明である。情報は部分的にしか入ってこない。たとえば、スロヴァキア政府は合意書を公開しており、スロヴァキアとハンガリーに対する「スプートニクV」1回分の料金は9.9ドル(およそ1,100円)、2回分で19.9ドル(およそ2,200円)であることが明らかになった。

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