「もしもし、ヴィクトリヤ、500ルーブル貸してくれよ」
「ヴィクトリヤはただ今、電話に出られません。こちらはアシスタントのオレグです。伝言を承ります」
「ああ、オレグ、こんにちは」
「了解いたしました。そのようにお伝えします。他に伝言はございますか?」
「オレグ、バカか、お前は。XX(罵り言葉)だな」
「了解です。そのようにお伝えします。ただし、罵り言葉は別の言葉に置き換えておきます」
応対したくない電話の発信者と、世界初の「バーチャル秘書」オレグとの会話は上記のようなものである。このバーチャル秘書は、2021年6月3日にロシアのチンコフ銀行が発表したものである。この装置の開発は2020年3月にスタートし、オレグの「トレーニング」には1億1,000万件のロシア人の通話記録が使われた。
オレグは電話に応対し、記録し、着信を電話帳もしくは知らない電話番号から識別する。オレグには発信者番号通知機能が搭載されているため、電話をかけてきたのが銀行や病院など害のない団体か友人なのか、あるいは迷惑電話や詐欺であるかを前もって判別することができる。またオレグは通話中の相手の発言を理解し、しかるべきシナリオで対話することができる。発信者が電話帳に記載されている場合、オレグは丁寧に応対し、詐欺などの電話でよくある「カード番号を教えてください」などといったフレーズが発せられた場合には、冗談を言ったり、意地悪をしたりする。
すべての着信履歴と通話内容はチンコフ銀行のアプリ、またはロシアのインスタントメッセンジャーアプリ、テレグラムかロシアのソーシャルネットワーク「フ・コンタクチェ」を通じて、着信者と契約者に送付される。(このサービスを利用するのに銀行と契約する必要はない)。
またオレグは不在着信があった場合、その番号に折り返し、用件を確かめてくれる。利用者は、チャットを使ってオレグに発言内容を伝えることができるリアルタイムモードで通話を操作することもできる。
今のところ、オレグはサンプルのベータ版でしか機能していないが、数ヶ月後にはさらに改良されることになるとチンコフ銀行は述べている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。