ロシアに現れた溶かした武器で作られた黒い巨大な聖堂

Andrey Rusov/Sputnik
 黒っぽい緑色、ドイツの戦車とヒトラーの官帽で作られた階段。モスクワ郊外にロシア連邦軍の主聖堂が建てられた。聖堂はすでにもっとも反響の大きい聖堂と呼ばれている。

 6月14日日曜日、モスクワ郊外のクビンカで、ロシア軍の主聖堂の除幕式が執り行われた。当初、2020年5月9日の75回目の戦勝記念日に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。

 聖堂は高さ95㍍(十字架を含めて)で世界で3番目に高い正教会の聖堂となった。しかし聖堂が他の教会を凌駕しているのは大きさだけではない。

 まず、目につくのは建物が黒っぽい緑色という、正教会ではほとんど見られない色合いである。正教会の建物は伝統的に明るい色合いで塗られている。ソーシャルネットワーク上では、すでに、「カーキ色の教会」と呼ばれている。

 教会には象徴的な数字が溢れている。たとえば、中心の丸屋根の天井部分の直径は19㍍45㌢。天井には8つの窓がついている。丸屋根の直径は22㍍43㌢。1945年5月8日の22時43分にドイツが無条件降伏の文書に調印が行われたのである。また小さな丸屋根の高さは14㍍18㌢。これは戦争が続いた日数が1418日だったからである。

 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、聖堂の階段はドイツの戦車の車体で鋳造されたと明らかにした。国防相はテレビ局“ズヴェズダー(星)”からのインタビューに答えた中で、「この聖堂の階段を登るとき、わたしたちは敗北した敵の兵器の上を歩くのである」と述べている。またテレビでは、戦利品であるドイツ国防軍の武器の入った箱が地方からモスクワに運ばれ、それが階段の鋳鉄のプレートを作ったことを伝えた。ちなみに聖堂には博物館が作られており、アドルフ・ヒトラーの軍服や官帽などさまざまな品が保管されている

 聖堂の中心的なイコン(聖像画)はネヴァ川の底から引き上げられた1710年の鋳鉄の大砲の砲架に使われていた板に描かれている。

 建設の段階から、このロシア連邦軍の主聖堂は大きな議論を呼んだ。というのも、ウラジーミル・プーチン、ヨシフ・スターリン、FSB(ロシア保安庁)長官、その他の政治家たちの顔を描いたモザイク画が使われることになっていたからである。しかし結局、プーチン大統領のモザイクは、大統領本人の意見を考慮し、聖堂から取り除かれることになった。プーチン大統領は自身の功績を評価するのは時期尚早との見方を示した。プーチン大統領の顔が描かれたモザイク画は破棄されたわけではなく保管されている。ただし、1つの作品としてであり、聖堂ではない別の場所に置かれている。 

 しかしながら、聖堂の内装の中で中心的な位置を占めているのはモザイク画で、その大きさは1000平方㍍に達する。また主要な丸屋根(300平方㍍)は世界最大の自印聖像のモザイクでできている。

 インターネットサイトZnak.comによれば、この聖堂の建設費用は60億ルーブル(およそ85億円)で、このうちの30億ルーブルがモスクワ市の予算から、そして残りの30億ルーブルは寄付でまかなわれたとされている。

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