1. 瓶回し
瓶回し(瓶を回して瓶の口が向いた人にキスするゲーム)のロシア版は単純かつ過酷だ。参加者は輪を作り、中央に酒瓶を置く。最初のプレイヤーが瓶を回し、瓶の口が向いた人が1杯飲む。これを全員が無意識に飛行機に乗るまで繰り返す。航空券を買った記憶はないし、どこへ向かうのかも分からないのである。
2. 階段ゲーム
このゲームは1980年代から90年代のロシアの若者がプレハブアパートの階段でよくやっていた。ゲームの目標は人を速く酔わせることだ。
必要なのはウォッカと階段だけだ。ソ連の一般的なプレハブアパートは各階の間に9段で折り返す18段の階段がある。ウォッカの瓶の蓋にウォッカが注がれ、プレイヤーはそれを飲んで一段目に立つ。それからもう一杯飲み、2段目に上がる。蓋は階段の数に合わせて9つあるのが望ましい。最も長く続けられた人が勝つ。
このゲームの落とし穴は、アルコールの量ではなく、ちびちび飲むというその飲み方にある(瓶の蓋に入る液体の量は約7グラム)。こうするとアルコールは口や喉の粘膜に吸着する。その蒸気を吸い込むと、消化器を通すよりも先にアルコールが脳に達するのである。
3. 酒チェス/酒チェッカー
このゲームに勝つには、酒に強いだけでなく頭脳も明晰でなければならない。これは普通のチェスだが、一癖ある。手を進めるごとに25グラムのウォッカを飲むのだ。ハンディとしてチェーサーやスナックを付けることもできる。例えば、強いほうのプレイヤーはチェーサーを付けず、弱いほうは付けるといった具合だ。
チェッカーの場合も同じルールが適用されるが、ちょっとした違いもある。一手ごとではなく、相手の駒を取るごとに25グラムのウォッカを飲む。そのため、一回のゲームで消費される酒の量は最大でも300グラムを越えることはない。
勝者はボードゲームに勝った者か、あるいは酔いつぶれずに手を進め続けられた者だ。
4. シェルゲーム
このゲームはロシアンルーレットなどの名でも知られるが、これは身体への影響の点で階段ゲームや酒チェスよりもいっそう過酷だ。
3つのグラスを用意し、2つは色が同じ2種類の強い酒で(例えばウォッカと白いグラッパ)、1つは水で満たす。同じ色の2種類の酒がなければ、ウォッカとウォッカでも良い。液体の量と温度が同じであることが重要だ(液体が冷たいと、グラスが曇ってしまう)。
ディーラー役の者がグラスをシャッフルし、プレイヤーはどれを飲んでどれをチェーサーにするかすぐに決めなければならない。プレイヤーは味見をしたり匂いを嗅いだりしてはならない。ゲームの目標は最後まで立っていることだ(座っている者や横たわっている者は脈を見よう)。水のチェーサーがウォッカなのもつらいが、ウォッカのチェーサーがジンだともっとつらい。
5. 熊が来た!
これは例えばソビエトのある工科大学の写真サークルの学生らや、半年間のフィールド調査に出る地質学研究チームなど、大人数の酒好きの集まりがやるゲームだ。
全員が小額紙幣を机に置く。全員が1杯飲んだ後、ホストが「熊が来たぞ!」という。この合図で全員が机の下に潜り込む。しばらくすると、ホストは熊が去ったと告げ、全員机の下から出て、もう1杯やり、机にさらに紙幣を積む。
「熊」は机から這い出る者が一人だけになるまで何度もやって来る。最後の一人が全員の金をもらうことができる。ただし翌日にはその大半を二日酔いの薬の購入に充てなければならないだろう。
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最後に念のため。責任感を持って飲んで下さい。過度の飲酒は深刻な健康被害や死につながります。
コロナウイルスの感染拡大が止まらないうちは、自分専用のグラスを使おう。なお酒はウイルスの特効薬にはならない!