モスクワを歌った欧米の曲10選

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オレグ・エゴロフ
 さまざまな文化が交わる巨大な国際都市の一つであるモスクワ。ロシアの首都は多くのミュージシャンにインスピレーションを与えてきた。

1. ラムシュタイン――『モスカウ』

 「この街は娼婦だ、額に赤いしみのある」――ラムシュタインがモスクワに対する愛を綴った2004年の曲の歌い出しはこうだ。彼らはきっとこの街の華やかさをからかったのだろうが、そこには愛が感じられる。バックコーラスがロシア語でレーニンを讃えるピオネールについて歌い、アコーディオンが鳴り、この一節が繰り返される――「それでも彼女は世界で最も美しい!」

2. マイケル・ジャクソン――『ストレンジャー・イン・モスクワ』

 マイケル・ジャクソンがこの曲を書いたのは1993年、モスクワのホテル・メトロポールでのことだった。彼はその時非常にふさぎ込んでいたとされる。『ストレンジャー・イン・モスクワ』はこの事実をよく反映している。この曲は、知らない街の通りを、雨の中一人孤独に彷徨う外国人の悲しいバラードだ。それでも彼はこう歌っている――「幸せな日々が痛みを沈め込むだろう。」

3. スコーピオンズ――『ウィンド・オブ・チェンジ』

 1989年にモスクワで公演をした直後、この西ドイツのバンドはペレストロイカ(ソ連のリベラルな改革)に触発された力強いバラードを収録した。さらに1991年には、彼らは『ウィンド・オブ・チェンジ』で得た印税収入の7万ドルをミハイル・ゴルバチョフに渡した。ゴルバチョフの政策がスコーピオンズに大きな影響を与えたからだ(ゴルバチョフはこの金を慈善事業のために寄付したと言われる)。曲中にモスクワへの直接の言及はないが、「モスクワ川沿いにゴーリキー公園へ下る」という歌い出しを聴けば、クラウス・マイネがどの街を意図しているのかは明白だ。

4. ブラザヴィル――『モスクワ行の夜行列車』

 アメリカのインディーズ・ポップバンドが2004年に発表したロマンチックな『モスクワ行の夜行列車』は、モスクワそのものを歌ったというよりはロシアの首都への旅を歌ったものであるが、なんとも愛おしい響きを持っている。それだけでは物足りない? 大丈夫、アコーディオンのメロディーもセットだ!

5. ザ・ヴァイブレーターズ――『モスクワのディスコ』

 イギリスのパンク。ラフでシンプル、以上。1970年代には誰もがディスコで踊っていた。そこでイアン・カーノチャンは自問する――「モスクワの人々はディスコで踊ったりするのだろうか。」 イアン、その答えは「場合によりけり」だ。レオニード・ブレジネフがディスコで踊らなかったことは確実だが、反抗的な若者たちなら踊っていたかもしれない。

6. アル・スチュワート――『モスクワへの道』

 西側の歌手には珍しく、歌詞の中で第二次世界大戦の東部前線を丁寧に再現している。スコットランドのフォーク・ロック歌手、アル・スチュワートがこの曲を収録したのは1973年で、当時冷戦の最中だったことを考えるとこれは驚くべきことだ。この長いバラードにおいては、モスクワは単なる象徴以上の意味を持つ。そこはロシアの神聖な首都であり、主人公の兵士が侵略者からこの街を守っている。

7. ジェスロ・タル――『彼女は自分がダンサーだと言った』

 「ミス・モスクワ、どんな話があるの?」と古き良きイギリスのロックソング(1978年収録)の主人公はロシア人女性に問いかける。彼女は自分がダンサーだというが、彼は半信半疑だ。曰く、「おそらく農業計画の学生だろう」。再び外国人がロシア人美女との出会いを語る。謎めいていて、理解し難く、それでいて魅力的な女性だ。もちろん、話をしながら彼はウォッカを飲んでいる。

8. ジンギスカン――『めざせモスクワ』

 ドイツのポップバンド、ジンギスカンによる、とても知的な曲とは言えないが、非常に愉快で笑い(「ア、ハ、ハ、ハ」)に溢れた曲だ。モスクワ・オリンピック直前の1979年に収録されたため、ドイツ人がロシアについて何か悪いことを歌っているのだという噂が(ドイツ語を解さないソビエトの人々の間で)広まったが、実際はコサックやウォッカ、美人のナターシャといった、ロシアに対する可愛げのあるステレオタイプが詰まった単なる陽気な酒宴の曲である。今ロシアでヒット間違いなしの往年の名曲だ。

9. ジルベール・ベコー――『ナタリー』

 1964年のロマンチックなフランスのポップソングの主人公は、ナタリーというロシア人の美人ガイドに出会う。ガイドは市内で彼を案内し、プーシキン・カフェでココアを飲みながら彼を魅了する。面白いことに、プーシキン・カフェは作詞者の想像の産物で、1960年代のモスクワにそのようなカフェはなかった。だが今ではこのカフェは存在する。文化が実世界に影響を与えることもあるのだ。

10. バヤガ・イ・インストルクトリ――『タマーラ』

 1984年に発表されたセルビアの曲は、歌詞の面で『ナタリー』によく似ている。主人公はタマーラという若い美女に出会い、モスクワの街路で恋をするが、外が寒すぎて彼女の気持ちに確信が持てない。おそらくロシアの首都で外国出身のミュージシャンが直面する主な問題はこの2つ――傷ついた心(ブロークン・ハート)と凍てついた手(フローズン・ハンド)――なのだろう。