「エコなんてどうでもいい!袋をちょうだい!」―なぜロシア人は買い物袋を使うのをやめられないのか?

Legion Media
 ロシアではプラスティック製レジ袋はあらゆるものに使われる。食料品、洋服、ゴミ・・・そして・・・、楽しむため。レジ袋を使うのをやめるなんてできるわけがない。

 モスクワ南東部にロシア最大の市場「サドヴォード」がある。気温およそ30℃の中、人の汗の臭いとソーセージパンと油っぽい香水のにおいが混じりあっている。そしてここはレジ袋天国である。市場の売り子たちは、中国製のワンピース、パンツ、シャウルマ(ケバブサンド)、カーダシアンの(として売られている)化粧品など、あらゆるものをレジ袋に入れる。

 洋服と靴が並ぶ果てしない列の間に立っている屋台はそれほど多くない。屋台の一つで、シャネルからH&Mまで、有名なファッションメーカーの名が入った買い物袋がそよ風に揺れている。その屋台の近くに栗色の髪をした少しぽっちゃりした背の低い45歳くらいの女性が立っていて、学者のような眼差しで1枚30ルーブル(およそ50円)の買い物袋の中から「D&G」のにするか「FENDI」にするか迷っている。

 「なぜ買い物袋が必要なのですか?」とわたしは尋ねる。

 「なぜって?職場にランチや傘を持っていくためよ。バッグには入らないじゃない」と答える彼女は小さな手帳ほどの大きさの自分のバッグを指差す。

ツム百貨店の歴史的建物の記念日のために作られた、袋の形をした9メートルのパヴィリオン。

 「もう少し大きめのバッグを買ったらどうですか?あるいは布製のエコバッグのようなものとか・・・」

 「オフィスに行くのにキャスター付きのスーツケースを持って行かなきゃいけないわけ?」と女性はちょっと憤慨し、「D&Gの袋を掴み、商品棚の上にお金を投げるように置いたかと思うと一瞬にして人混みの中に消えた。

 東洋風の容姿をした売り子が言うには、有名店のロゴが入った偽物の買い物袋は「グッチ」の偽造品よりも需要があるとのこと。しかも多くの人がこれをプレゼントをラッピングするために買うのだという。

 「エコ的にはどうなんでしょう?」とわたしは場にそぐわない質問をしてみる。

 「エコ?高価な洋服を買うお金がないことを隠そうとすることの方が大事なんですよ」と彼女は反論するのであった。

地球を救うにはあまりにも高価すぎる

 全ロシア世論研究センターの世論調査によれば、85%のロシア市民が全面的あるいは部分的にポリ袋の使用をやめてもよいと考えていることが分かっている。

 とはいえ、実際にレジ袋の使用を停止するまではまだまだ長い。ロシア人にとって、何よりこれは習慣の問題であり、便利なものであるからだ。

 「レジ袋がなければ何にゴミを入れて出すのかしら。昔やっていたみたいに、バケツに入れて出して、またそのバケツを洗うの?それは勘弁してもらいたいわ」と言うのは35歳の美容師、エフゲニヤ・ズボワさん。

 あるいは家にエコバッグを忘れて、買った食料品を入れるのに食料品店で袋をもらうと言う人もいる。

 「買い物バッグは家にたくさんあるし、それを持って買い物するようにしているけれど、それでも家には袋が溢れてる。家を出るときには買い物に行くつもりはなかったけれど、途中で何か買うことになってバッグがないということもあるし」。そう話すのはロシアのSNS「フ・コンタクチェ」のユーザーの一人、ポリーナ・ジュシマンさん。

 紙袋やエコバッグに移行するのにもう一つ問題があると指摘するのは22歳の学生、エドゥアルド・クリチニコフさん。それは値段が高いことだと憤慨する。

 「ロシアはまだ財政的にエコバッグに完全に移行する準備ができていません。皆がそれを買うお金を持っているわけではないからです。なぜもっと安いエコバッグを作らないのでしょう?15–50ルーブル(およそ25–80円)も取らずに、5–10ルーブル(およそ8–16円)くらいで売ればよいのに」。

 モスクワに住む50歳の秘書イリーナ・チーホノワさんもこれに同意する。頑丈なレジ袋は彼女にとってバッグの代わりになっていて、どんな小さなレジ袋も破れるまで何度も使うのだと言う。

 イリーナさんは言う。「ソ連時代は、どんな食料品も紙に包んでくれたものよ。バターもね。そしてすべて無料だった。それが今はどうなの?こんな値段でエコバッグを買うなんて、そんなエコ必要ないわ」。

レジ袋の入ったレジ袋からバッグの入ったエコバッグへ

ウダリツォワ通りにあるスーパーマーケット「緑のペレクリョーストク」にて。

 環境保護団体「分別収集」のメンバーであるソフィヤ・ログヴィノワさんは、レジ袋が環境にどれほど深刻な影響を及ぼすのかについて深く考えるきっかけとなる情報が不足しているのです」との確信を示す。

 「200–300年かかって分解されるレジ袋を1年間に100枚使っていると知るだけで十分な人もいれば、マイクロプラスティックについての本やコカコーラーが1分間に20万本製造されていることについて読まなければ、深い考えに至らない人もいます。それぞれの人に合ったアプローチの仕方があるのです」とログヴィノワさんは考えている。

 もう一人、エカテリンブルグ出身のフェイスブックの利用者ディーナ・ヒトロワさんは2何前に、レジ袋を入れたレジ袋を、エコバッグの入ったエコバッグに変えた。エコバッグは自分で作っている。

 彼女はフェイスブックに、「歩いていける範囲内に、スーパーのチェーン店だけでなく、野菜やフルーツ、香草やパンを売っている小さなキオスクがあるんですが、わたしはどうやら近所の名物らしいです。ときどきレジに並んでいると、“そんなエコバッグ、どこで買ったんですか?”とか“そこに入れた方が保存がきいて、水滴もつきにくそう”と言われることがあるんです」と投稿している。

 彼女はおそらく他の人たちも彼女を模範にしたいと思っているのだと感じている。「ロシアではこれは新しい問題で、まだそれほど大々的なものではないことを知っています。でもこの人たちもいつかはエコバッグを持とうという考え方になるかもしれない。大事なのは生きた模範でいるということです」。

 大規模なロシアのチェーン店はレジ袋廃止を支持している。ロシアのスーパーマーケットチェーン店「ペチョーロチカ」は2019年5月末、ロシアの大都市で、何度でも使えるリネンの買い物バッグと紙袋を売り出した。また「フクースヴィル」や「アシャン」、「アズブカ・フクーサ」などのスーパーも、レジ袋を有料にしたり、繰り返し使えるバッグを買うよう勧めたりしていた。

 そして4月、ついにロシア国家会議で、2025年以降のレジ袋の使用禁止が提案された。

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