ロシアフィギュア界の新星、13歳のアレクサンドラ・トルソワ

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クセニア・ズバチェワ
 3月10日土曜日、ロシアのもう1人のフィギュアスケート選手が世界にその存在を見せつけた。若干13歳のアレクサンドラ・トルソワ選手はブルガリアのソフィアで開かれたフィギュアスケート世界ジュニア選手権のフリーで4回転ジャンプを2回成功させるという歴史的な快挙を成し遂げて初優勝した。

 公式大会で4回転ジャンプを2回降りた女子は世界初、そして公式大会で完全に4回転を成功させた2人目のスケーターとなった(1人目は2002年にジュニアグランプリファイナルで4回転サルコーを決めた安藤美姫選手)。土曜日、トルソワ選手が決めたのは安藤選手と同じサルコー、そして女子では公式戦初となるトーループの2種類の4回転を決めた。

 「優勝することができ、とても嬉しい。でもそれよりも4回転を成功させたことがやはり嬉しいです。4回転を成功させるためにこれまで練習してきて、それを成し遂げることができました」。国際スケート連盟に対し、トルソワ選手はこのように述べ、「4回転を成功させたあと、幸せな気持ちでいっぱいでしたが、まだそのあと難易度の高い3つのコンビネーションジャンプを飛ばなければなりませんでしたので、集中する必要がありました」。

 今大会で、トルソワ選手は225.25点をマーク、8年かけて、7回目の挑戦での初優勝となった。トルソワ選手は現在13歳で、2020年までシニア大会には出場できない。

 現在トルソワ選手は、平昌オリンピックでそれぞれ金メダル、銀メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手、エフゲニア・メドベージェワ選手のコーチでもあるエテリ・トゥトベリゼ監督の下でトレーニングしている。

 リャザン(モスクワの南東196キロ)出身のトルソワ選手は2008年にスケートを始め、その後モスクワに移り、2016年にトゥトベリゼコーチのチームに入った。

 

どのように2回の4回転ジャンプを成功させたのか?

 トルソワ選手はけがをしないよう特殊なパンツを履いて練習したとのこと。トルソワ選手は「わたしはそれほど早く回れないのですが、高さがあるので、それを利用して4回まわります。わたしはもともと高くジャンプすることができるのです」と説明する。「誰でも毎日毎日、練習すれば、ジャンプは跳べるようになります。ただ練習をすること、そして恐れないことです。わたしは跳べるようになりたいと思い、トライすることを恐れませんでした。誰でも何かを達成したいと思えば、どんなことでも実現可能なのです」。 

 トルソワ選手の成功は体型によるところも大きいとも指摘されている。トルソワ選手は身長148センチ、体重は35キロ以下。体が軽くて小さいことで、4回転を成功させることができるというわけだ。

 体重があり、身長があるスケーターは、複雑かつ難易度の高いジャンプをする際にバランスを保つのが難しくなると指摘するのはスポーツサイト「チャンピオナート」の記者ダリア・トゥボルツェワさん。そこでトルソワ選手も思春期に近づき、体型が変わり始めると、今のような技術をキープするのは難しいだろうと分析する。さらにけがの確率も高まる。

 一方、ロシアのフィギュアスケートコーチで、ロシア代表チームのアドバイザーでもあるタチヤナ・タラソワ氏は「シニアになっても同じようなジャンプができるかは、その時になってみないと分からない。コーチ陣は彼女を発掘し、トレーニングしたのだから、コーチたちには彼女の能力を維持していく責任がある」。

 トルソワ選手はジャンプがもっとも好きな要素だと話しているが、別のトレーニングも楽しんでいるという。「最近、世界選手権とグランプリの演技の練習をスタートしましたが、フィギュアスケートはわたしの仕事のようなものになりました。これまでずっと仕事というのはつまらないものだと思っていましたが、わたしはフィギュアスケートが好きだし、いつも練習を楽しんでいます」。