ロシアの歴史映画5選:史実を見事に映像化

歴史
ボリス・エゴロフ
農民の血腥い大反乱、モンゴル軍の来襲、大祖国戦争(独ソ戦)、そして宇宙の征服――これらすべてを映画で目の当たりにできる。 

1.『ロシアの反乱』(アレクサンドル・プロシキン監督、2000年)

 若い将校ピョートル・グリネフは、辺境の小さな要塞に、勤務するためにやって来る。そこで司令官の娘と恋に落ちる。しかし、コサックと農民の大反乱の勃発により、若者たちの幸福は妨げられる。反乱は、コサックのアタマン、エメリヤン・プガチョフが率い、ロシア帝国南部を血で染めた。

 この映画は、詩人アレクサンドル・プーシキンの歴史小説『大尉の娘』(1836年)と彼の歴史研究『プガチョフ史』に基づいている。映画の製作者たちは、18世紀の環境、当時の衣装、武器、日用品などの再現に細心の注意を払った。

 彼らの努力は無駄ではなかった。この映画は、映画祭「キノタヴル」、およびロシア版アカデミー賞といわれる「ニカ賞」で、いくつかの賞を受賞。ベルリン国際映画祭では金熊賞(コンペティション部門における最優秀作品賞)にもノミネートされた。

2. 『44年8月…』(ミハイル・プタシュク監督、2001年)

 ドイツの工作員たちが、赤軍の後方で、解放されたベラルーシの領域で活動している。彼らは、バルト三国における赤軍の今後の大攻勢を妨害しようとしている。パーヴェル・アリョーヒン大尉率いる、「スメルシ」(スターリン直属の防諜部隊)の隊員たちは、できるだけ早くこの脅威を除くよう命じられた。

 ウラジーミル・ボゴモロフの小説『真実の瞬間』に基づくロシアとベラルーシの合作であり、批評家と一般の観客の双方から高く評価された。FSB(ロシア連邦保安庁)も映画を賞賛し、ロシア(ソ連)の諜報機関の活動を極めて正確に映像化していると認めた。

3. 『モンゴル』(セルゲイ・ボドロフ監督、2007年)

 ロシア、カザフスタン、モンゴル、ドイツの合作映画。チンギス・ハーンの少年時代から、やがて彼が強大な支配者に成長するまでを描いている。チンギス・ハーンは、日本人の浅野忠信が演じている。

 2008年にアカデミー外国語映画賞に、カザフスタンからの映画としてノミネートされたが、受賞は逸した。

 セルゲイ・ボドロフ監督は三部作の製作を計画していたが、プロジェクトはまだ凍結されている。

4. 『ブレスト要塞』(アレクサンドル・コット監督、2010年)

 国境のブレスト要塞は、1941年6月22日に、最初にドイツ軍の攻撃を受けた。その守備隊はすぐに主力部隊から切り離されてしまった。しかし、包囲され孤立したソ連兵と国境警備隊は、降伏など考えもしなかった…。

 ロシアとベラルーシの合作映画は、ブレスト要塞のある場所で撮影された。撮影中にここで、戦争当時の不発弾とソ連兵の遺体が発見され、地元の記念墓地に埋葬されている。

5. 『スペースウォーカー』(原題は「パイオニアの時代」)(ドミトリー・キセリョフ監督、2017年)

 1965年3月18日、宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフは、世界で初めて宇宙遊泳を行った。しかし、船外に出ただけでは事は済まず、船内に戻り地球に生還しなければならない。まさにここで問題が起きた…。

 この映画のコンサルタントは、レオーノフ自身と、この歴史的な飛行のプロジェクトリーダーの一人である設計者ヴィクトル・ブラゴフだった。映画スタッフは、宇宙船の外観を再現することは許されたが、宇宙船の極秘の内部構造にはアクセスできなかった。