写真という新芸術が帝政ロシアの首都で普及し始めた時代。カメラの所有者らは周囲の世界を隈なく撮影しようと外へ駆け出した。
20世紀初め、アマチュア写真撮影が大変人気になった。コダック社から、比較的安価な携帯用カメラが発売されたのだ。
ロシア帝国の写真家らは、美しい邸宅とそのインテリアだけでなく、別荘の風景や公園の散歩、フィンランド湾でのボート遊びなどの日常の出来事も撮影した。写真は郵便はがきに使われたり、記念にサインされたり、家族のアルバムに大事にしまわれたりした。サンクトペテルブルクのロシア美術館のコレクションには、19世紀末から20世紀初めに撮られた200枚以上の写真がある。その一部をご覧に入れよう。
1.フィンランド湾の岸辺のボートに乗った子供たち。
2.ペテルブルク近郊のチャルレヴォ村。ロマノフ王朝300周年を記念して清められる救世主顕栄教会、1914年。
3.ガッチナ。公園側から望んだ邸宅の外観、1900年代。
アレクサンドル・エルジェムスキー撮影/国立ロシア美術館
4. ガッチナのプリオラツキー宮殿、1990年代。
アレクサンドル・エルジェムスキー撮影/国立ロシア美術館
5.オラニエンバウムの中華宮殿、1900年代。
アレクサンドル・エルジェムスキー撮影/国立ロシア美術館
6.パヴロフスキー宮殿のギリシアの間、1900年代。
アレクサンドル・エルジェムスキー撮影/国立ロシア美術館
7.ツァールスコエ・セローのエカテリーナ宮殿の琥珀の間(第二次世界大戦中にナチス・ドイツに運び出されて失われたが、2000年代に再建された)、1900年代。
アレクサンドル・エルジェムスキー撮影/国立ロシア美術館
8.ペテルゴフ大宮殿、1860年。
9.ペテルゴフの「下の公園」。噴水「獅子の滝」、1876年。
10.ツァールスコエ・セローのウラジーミル(予備)宮殿(政治家ビクトル・コチュベイの邸宅)、1914年。
11.ツァールスコエ・セロー、アレクサンドル公園の大中華橋、1900年代。
12.クロンシュタット、建設されて間もない海の聖ニコラス大聖堂、1910年代。
13.クオッカラ村(現レーピノ)の別荘「ペナーティ」のベランダで家族と過ごす画家イリヤ・レーピン、1900年代。
14.ノーヴァヤ・ラドガ、1900年代。絵はがき。
15.オラニエンバウム宮殿、1908年。
16.ペテルゴフの大公ニコライ・ニコラエヴィチの別荘「ズナメンカ」、1870~1880年代。
17.スタールイ・ペテルゴフのセルゲイ別荘(現在は宮殿公園建築群「セルギエフカ」)、1911年。
18.ストレリナ駅、1908年。
19.ツァールスコエ・セロー、エカテリーナ公園のカメロン回廊、1900年代。
20.ツァールスコエ・セロー、エカテリーナ公園のオルロフ(ガッチナ)門、1900年代。
現在ロシア博物館では、展覧会「ロシア美術館コレクション:写真で見る1860~1910年代のサンクトペテルブルク県」が開催されている。期間は2019年5月30日から8月26日まで。