外国人に難しいロシア語の単語:ロシア人でも舌がもつれる

Legion Media
 摩訶不思議に見える文字、複雑な動詞活用、子音の連続――。ロシア・ビヨンドの、ロシア語のネイティブでないエディターたちが、彼らにとって最高に難物のロシア語発音リストを共有してくれた。

ロシア語のアルファベットは33文字からなり、音の種類はもっとたくさんある。また、表記と実際の発音が違うこともある。ロシア語を母語とする人でもやっかいだが、とくに大変なのはどんな言葉だろうか?それらの発音に挑戦してみよう!

 

言語学的悪夢

 ы [y] ([y]は単なる目安。以下の発音の表記も同様)という文字の発音は、外国人にとっては悪夢だ。どうすれば正しく発音できるか?笑顔をつくり、指をあなたの唇に平行につけて、и[e]と発音してみよう。しかし、外国人がこの音を含む言葉を発音しようとすると、他の音がしばしば軟らかくなってしまう。例えば、мышь[mysh] の代わりに、мишь[mish] となってしまう。ыは、腹部をけ飛ばされたときに呻く音に近い、と説明する人もいる。

 「私にとって発音が一番難しい言葉は、英語にない音を含む短い単語かな。例えば、сыр[syr](チーズ)は、すごく難しい」と、イギリスの編集者、トーマス・ホドソンは言う。

 ロシア・ビヨンドの編集者ペギー・ローゼ(ドイツ)とルチア・ベリネロ(イタリア)はпыль[pyl](埃、チリ)を難しい言葉として挙げた。英国の編集者、ニック・ホールズワースは、彼にとって最も難しいのはбык[buykh](牡牛)だと言った。「『ブイク』が『ビック』になってしまう」と。

 ж [zh]、ш [sh]、щ [shch]、ч [ch]も発音が難しい。やっかいなのは、それらがしばしば一つの単語のなかにまとまって出てくることだ。音について言うと、шは「硬い」音で、蛇がシューシューいうように聞こえる。ч は、英語の「チャンス」とチのように「軟らかく、鈍い」音。щはшとчが組み合わさったもの。жは、ミツバチがジジジ…とうなっている音を連想させる。

 これらの音がまとまって出てくる例としては、соответствующие [サアトヴェーツトヴユシエ](対応する、しかるべき)、защищать [ザシシャーチ](守る)など。「щの発音は私たちには難しい。おまけにこの単語では、こんなに近接して出てくるのだから!」と、米国の編集者でジャーナリストのジョン・ヴァロリはため息をついた。

 「私にとって難しいのはдостопримечательности [ドストプリメチャーチェリノスチ](名所)。だってこんなに長いんだもの」 。オランダの編集者、エヴァ・ホフマンは言う。

 「мужчина [ムッシーナ](男性)を発音すると、“мущщина”のようになってしまう」とルチア。「フレッシュジュースを注文しようとすると、チェレンジになる。だって、свежевыжатый [スヴェジェヴィジャトゥイ]なジュースと言わなければならないのだから」

 ロシア・ビヨンドのジャーナリスト、ティム・キルビーは、こんな例を挙げてくれた。штукатурка [シトゥカトゥールカ](漆喰、プラスター)、Хрущёв [Khrushchev](フルシチョフ、1953~1964年にソ連の指導者)、Шарикоподшипниковская  улица [Sharikopodshipnikovskaya Street](「ボールベアリング通り」の意味になる)。

 これもそうだが、ロシアの通りの名前が問題なこともある。「モスクワの国際教育センターで学んでいたとき、その建物は、Kржижановского [Krzhyzhanovsky] Streetにあった。名前のせいで道を聞くのが難しかった」と、トーマスは振り返る(グレーブ・クルジジャノフスキーは、ポーランド系のソ連の政治家、科学者)。

 

もっと多くの子音を!

 「子音がたくさんある単語は恐怖ね」とルチアは語った。彼女が挙げた例は、

 Краснопресненская [Krasnopresnenskaya]。これはモスクワの地下鉄駅の一つの名前で、川の名前[Presnya River]から来ている。

 ティムも、この類の名前をたくさん付け加えた。例えば、Большой Спасоглинищевский переулок [Big Spasoglinischevsky Lane]。これはグリニシチの「主の変容教会」に因む。グリニシチは、この地区の中世の名称。この名称はというと、ロシア語の「粘土」に由来する。

 さらに、Улица 1905 года [The Street of 1905]も。この発音は長たらしく、[Ulitsa tysyacha devyatsot pyatogo goda]となる。

 ティムはほかに発音が難しい単語として、здравствуйте [ズドラーストヴィチェ](こんにちは)、 спровоцировать [スプラヴァツィーロヴァチ](挑発する)、квалификационный [クヴァリフィカツィオンヌイ](技能資格認定の)、отрапортовал [アトラパルトヴァール](公式に報告した)を挙げた。

 ジョンは、「軟音符」のьと「硬音符」のъに、実のところ、どんな意味、機能があるのか分かりにくいことがあるという。例えば、вольноопределяющийся [ヴォリノオプリディリャーユシイシャ](帝政時代の義勇兵)、используемые [イスポーリズエムィ](利用されている)。「ьが出てくると混乱する」とジョンは言った。

 また彼は、「同じ文字が二つ続いて始まる単語があると、パニックになる」と付け加えた。例えば、ввод [ヴヴォード](導入、エンター)だという。

  ジョー・クレセンテは、米国の作家で、Content COLAB社長だが、彼もジョンに賛成だ。「私は4音節以上の名詞を速く読もうとすると難しいことがある。例えば、неодушевлённость [ニェアドゥシェヴリョーンノスチ](無生物)、переосвидетельствующимися [ペレオスヴィデーテリストヴユシミシャ](再検診を受けた)」。

 「ドイツ人である私としては、л [l]のある単語はすべて難しい」と言うのはペギーだ。「例えば、лук [ルーク](玉ねぎ)、ложка [ローシカ](スプーン)。あと、среднестатистический [スレドゥネスタチーチェスキー](平均の)の発音をずいぶん練習した」

 それから、ペギーはこう付け加えた。「あと私はしゃべっているときに、アクセントの位置がすご~く大切な単語で、その位置を間違えるのが怖い」

 例えば、мукА [ムカー](粉)とмУка [ムーカ](苦しみ)とか、писАть [ピサーチ](書く)とпИсать [ピーサチ](おしっこする)。

  「самостоятельно [サマスタヤーチェリノ](自分で、独立して)と言おうとすると、いつも舌がもつれる。たぶん、これはどちらかというと、心理的な問題だろう」。こう言うのは、アジャイ・カマラカラン。『サハリン島から世界へ:愛の物語その他』の著者だ。

 「昨日、私はキッチンの蛍光灯を替えたときに、蛍光灯のロシア語(флуоресцентный)[フルオレスツェートヌイ]を発音できないことに気づいた」とトーマスは言う。

 まあ、これが慰めになるかどうか知らないが、これらの言葉のいくつかは、ロシア人にさえ発音が難しいことがある。

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