数あまたのピロシキの中でも、レワシニキと呼ばれるこのミニパイは独自の地位を占めている。レワシニキはベリーを餡として詰めて揚げられた小さなパイのことだ。他のベリーのパイと違うところは生のベリーやジャムではなく、ベリーのパスチラが使われていることである。
ロシア語で「レワシ」と言われる乾燥ベリー、すなわちフルーツのパスチラが最初に書物に現われたのは、16世紀に家庭の事柄の規則や助言を公式に記述した「ドモストロイ」においてである。専門家の中には、この単語は薄く平たいパンである「ラワシ」という語から派生したのではないかと考えている者もいる。
このパイは、復活祭の四旬節の週末によく焼かれたと信じられている。そして、プーシキンやトルストイといったロシアの有名作家の家庭でも出されていたことが分かっている。
ここに紹介するレワシニキのレシピは、1893年に出版されたヴェラ・フィラトワの料理本「主婦たち向けの新たな手引き書」に掲載されたものだ。そして今日までこれがこのパイの作り方としてはもっとも一般的なものである。レワシニキは、ひとくちふたくちで食べることができる小さなワレニキのようなものだ。生地には酵母を入れないため、食感はふわふわしてはいない。フィラトワは自身のレシピの中で卵を使っているが、水に少しのウォッカかラム酒を加えたものを使っても良い。
中に詰める餡としては、わたしはスーパーマーケットで買い求めたベリー・パスチラを利用したが、もちろん自分で作っても良い(レワシ、アップルスモクワ、ルバーブ・パスチラのレシピはこちらから)。作り方はそれほど難しくないが、ただし時間は少々かかる。ベリーかフルーツのピューレを使い、それらを煮て、平らにのばし、低温度のオーブンに入れて乾燥させる。
レワシニキを揚げるとき、このベリー・パスチラは加熱によって融ける。もっともおいしいのは、この瞬間に食べることである。パイは熱々で、餡は柔らかく香り立つ。
1. 卵を卵黄と卵白に分ける。
2. 卵黄を少し泡立てる。卵黄を少し(小さじ1/2ほど)残して、残りを卵白と混ぜる。残りはパイの端を留めるのに使う。
3. 水とパスチラ以外の材料をすべて刃のついたミキサーのボウルに入れる。
4. しっかりと混ぜる。
5. 1度、スプーン1杯の水を加える。これで短時間で塊にすることができる。
6. ミキサーから取り出し、1分ほど手でこねる。丸くまとめ、ラップで覆い、20分ほど休ませる。生地はダンプリングのように凝縮したものになる。
7. 生地を伸ばす。厚みはパイの数と柔らかさによって変わってくる。厚い生地はだんだん固くなり、冷ますとさらに固くなる。生地は薄ければ薄いほど、柔らかくなる。ただし、薄い生地はデリケートなため、扱うときには細心の注意を払うこと。
8. ガラスのコップを使って、丸く型を抜く(直径7センチ)。
9. 餡を作る。パスチラを5gずつカットする。
10. 丸く抜いた生地の上に餡を乗せる。
11. 片方の端にブラシで卵黄を塗る。
12. 端をしっかり留める。
13. 生地がなくなるまで繰り返す。
14. 深鍋にたっぷりの油を注ぎ、温める。パイを入れて、パイが浮かび、片面がきれいに色づいたら、ひっくり返す。
15. パイを取り出す。
16. ペーパータオルの上におき、余分な油をとる。
17. すぐに盛り付ける。レワシ二キは熱々で食べるのが一番おいしい。
18. レワシキはカリカリで、中の餡はとろりとしているが外には滲み出さない。
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