本物のタタール料理はタタールスタン共和国(モスクワから西へおよそ500キロ)で食べることができるもので、特にミートパイの種類が豊富であることでよく知られている。よく似たフィリングが入ったパイがいくつもあるが、その形で、中に何が入っているのかが分かるようになっている。
エレシはタタールの伝統的なパイで、その名前は「一部」あるいは「取り分」を意味する。羊肉または牛肉で作るタタールのもう一つの有名なパイ、エチポチマクとは異なり、エレシには角切りの鶏肉、じゃがいも、タマネギ、そしてスパイスが入っている。生地はイーストを使わず、サワークリームとバターを入れて作る。見た目でこのパイを別のものと混同することはけしてない。エレシは丸くて、閉じられていて、タタールのパイ、ズール・ベリシュを少し小さくしたような形をしている。
エレシの特長はたっぷり入ったジューシーなフィリングとサクサクのパフペーストリーのような生地。カリッとした生地が調理器具の役目を果たし、そこでフィリングが焼かれたパイである。鶏の胸肉の代わりに、もも肉を使っても、よりジューシーに作ることができる。
エレシは心のこもったとてもおいしいパイで、普通は何か特別なイベントがあるときや、大切な訪問客があるときに焼かれる。エレシは紅茶またはビーフブイヨンと一緒に食べると特においしいが、単独で、あるいはスープに添えても供される。
材料(4人分):
生地:
小麦粉 - 250 g
卵 – 1個
植物油 – 大さじ2
溶かしバター – 大さじ3
サワークリーム(20%)– 大さじ2
水 – 大さじ2
塩 – 小さじ1/2
砂糖 – 小さじ1/2
フィリング:
鶏肉(もも肉)– 250 g
ジャガイモ – 150 g
玉ねぎ(大)– 1個 (80~100g)
バター – 40 g
塩 適宜
黒胡椒 適宜
溶かしバター(表面に塗る)– 30~50g
作り方:
1. 生地の材料すべてをフードプロセッサーにかける。
2. すべてを合わせ、なめらかな生地にする。
3. 生地を丸めたら、ジップロックに入れ、フィリングができるまで冷蔵庫に入れておく。
4. ジャガイモは皮をむき、角切りにする。クラシカルなエレシではジャガイモは1.5~2センチの大きさに切るが、ここでは少し小さめに7ミリくらいにする。小さくカットした方が、パイの中により均等にフィリングを詰められる。
5. 玉ねぎはみじん切りにする。
6. 鶏肉も角切りにし、ジャガイモ、玉ねぎと合わせる。
7. 塩、胡椒を加え、よく混ぜる。
8. 生地を冷蔵庫から取り出し、4等分する。
9. それぞれを1/3と2/3になるよう分ける。
10. 大きい方を丸くのばす。
11. その上にフィリングを乗せ、バターをひとかけら置く。
12. 小さい方の生地をのばし、フィリングを覆うように乗せる。
13. 端を丁寧に留める。
14. 留める部分は波型にする。
15. パイを天板に乗せ、180度に予熱したオーブンに入れて45分焼く。
16. 茶色に色づいたら、溶かしバターを塗る。
17. 出来上がり。熱々でいただく。
18. どうぞ召し上がれ!