子どもの頃、夏休みをダーチャで過ごしていたわたしは、ベリー類について多くを学んだ。庭には、スグリ、ラズベリー、サクランボ、イチゴ、セイヨウスグリなどがあふれていた。私たち姉妹が頑張ったので、いくつかのベリー類はあっという間に「なくなった」ものだ。そして、食べ残したものもジャムやコンポートつくりに使われた。
記憶によると、よく残っていたのは赤スグリだった。酸味が強かったのだが、香りはとてもよかった。そしてビタミンが豊富に含まれているので、無駄にするのはもったいないと思ったものだ。そこで、これらのベリーを使って伝統的な飲み物であるモルスをつくってみよう。
モルスとは、ロシアを代表するベリーを使った飲み物で、ロシアの家庭生活に関する教本であるドモストロイが発行された16世紀から世に知られていた。そこには、ラズベリー・モルスついての記述あり、ある版によると、モルスと言う名前の由来は、ドイツ語でクランベリーを意味するモースベーレと言う語だとされている。しかし、他の専門家は、この飲み物がつくられる、ロシア語のモロシチカ(クラウドベリーのこと)から来ていると考えている。
モルスは水で薄められて、甘味を加えると言う点で普通のジュースとは異なる。そしてコンポートとの違いは、新鮮なベリーの果汁を含んでいるということである。モルスは新鮮なベリーと冷凍されたベリーを使って作られるのである。
モルスのつくり方は二つある。ひとつは熱を全く加えないつくり方だ。そしてもうひとつのつくり方は―これはわたしが好きなつくり方だが―、あらかじめ火を通した果肉を使い、砂糖は少なくするつくり方。というのも、酸味のある果肉や種を煮ると甘いシロップに変化するからだ。
夏になると、我が家では赤スグリを使ってモルスを作るのだが、それにイチゴやラズベリーなどの他のベリーを加えるのが常であった。そうすれば、モルスが単に健康的なだけでなく、美味しくもなるのだ。また、クランベリー、コケモモ、サクランボ、サジー、野イチゴなどもモルスにぴったりだ。
興味深いことに、昔は蜂蜜がモルスの甘味料として使われていた。もし蜂蜜を使うのなら、ほんの少しにすることをお勧めする。そして出来れば薄味のものを熱を加えずにつくるモルスに使うのがよい。
ベリー・モルスは氷やベリー類を加えてそのまま出されるか、カクテルに混ぜて飲むことが多い。
1. 赤スグリを小枝から外す。
2. 赤スグリを洗う。
3. ザルでこす。
4. ラズベリーも同様にザルでこす。
5. フレッシュなベリーの果汁は後で使う。
6. 鍋に潰したベリーの種と皮を入れ、砂糖を加える。沸騰した水を上から注ぎ、5分煮る。
7. 蓋をして、冷ます。
8. これでコンポートの完成。
9. コンポートをこす。 5の果汁をコンポートに加え、混ぜる。
10. 暑い日に氷とベリーを加えていただく。
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