ドラゴミロフの粥:ニコライ2世が好んだブランチ(レシピ)

ヴィクトリア・ドレイ
ロシア最後の皇帝がこの美味なキノコとそばの実の粥を食べない日は1日たりともなかったことは、良く知られた逸話である。このもっとも伝統的なロシアの食のコラボを試したければこのレシピで作ってみよう!

 お粥(カーシャ)はロシアの食文化において、いつの時代も疑いもなくもっとも親しまれた料理である。お粥は、家庭の懐具合によって素材や具の内容は違うとはいえ、裕福な家でもそうでない家の食卓にも、永くのぼってきた料理である。

 残念なことに、今では、グーリエフの粥やカボチャ入りの野生小麦の粥など、多くの甘美で風味の良いお粥は最早それほど食べられなくなった。その理由は、単につくるのに時間と手間がかかるからだと思われる。

 しかし、ドラゴミロフの粥は、思いのほかずっと簡単につくれる。この料理の歴史は19世紀にまでさかのぼることが出来る。伝説によれば、これが、ニコライ2世が毎日のように食べていたお粥であると言う。

 そして、この料理がどうしてロシアの優れた将軍であり、軍事作家であったミハイル・ドラゴミロフの名が付いたか確かなことは誰も知らない。彼は、若きニコライ2世が皇太子であった頃の歴史と軍事の教師であった。興味深いことに、将軍の妻であるソフィアは、料理好きで、700種以上ものレシピと理想的な厨房案を掲載した料理本も出して、大好評を博していた。一説によれば、この本に、まさにポリチーニ茸とそばの実の粥のレシピが載せられており、これが後に皇帝のお気に入りとなり、ソフィアの有名な夫の名が付けられたと言う。あるいは、もしかしたら、彼女自身の名前から付けられたのかも知れない。

 ドラゴミロフの粥はどの肉料理とも相性がよいし、それだけでも美味しい。材料もとても簡単で、そばの実とキノコは黄金の組み合わせだ。そしてこのお粥を特別なものにしているのは、あまり一般的でない半球型の形だ。キノコは、もともとのレシピではポリチーニ茸であろうと思われるが、どんなものもお好みで良いし、家にあるもので良い。

 キノコソースのベースも同様で、より味をクリーミーにするのなら、濃厚な生クリームを使う。しかし、ここではサワークリームを使う。少し酸味を足すことで味が豊かになるのだ。

材料(4人分):

  • そばの実 150g
  • キノコ 500g
  • ニンジン(小) 1本
  • パセリ 50g
  • サワークリームまたは生クリーム(脂肪分25%以上)160ml
  • バター 大さじ3
  • 小麦粉 小さじ1
  • 塩 少々
  • コショウ 少々 

作り方:

1. そばの実は流水で洗い、鍋に入れ、2カップの水を注ぐ。

2. 塩少々を加え、沸騰させたら、蓋をして、弱火で柔らかくなるまで煮る(15分ほど)。

3. その間にキノコソースを作る。まずニンジンは角切りにし、たっぷりのバターを加えて、中火で5〜7分炒める。

4. 次に、キノコを細かく刻む。

5. キノコにニンジンを加え、柔らかくなり、茶色く色づくまで炒める。

6. 小麦粉、サワークリーム(または生クリーム)、塩、挽いたコショウを加え、中火で数分温める。

7. 火から下ろし、刻んだパセリを加えて、混ぜる。ここで一番難しいのは、キノコソースを食べてしまわないこと(本当においしい)。

8. 丸い器に柔らかいバターを入れ、1/3のそばの実を器の底にスプーンで押しながら、広げる。

9. 上にキノコソース半量を注ぐ。

10. またそばの実を置き、ソースを注ぐ。

11. 器の上に大きいプレートを置き、そっとひっくり返す。すぐに落ちてこない場合は、薄いナイフを使う。

12. ドラゴミロフ粥の上に刻んだフレッシュなパセリをふりかけ、温かいうちに出す。どうぞ召し上がれ!

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