実際に熊を傷つけずに作るロシアの「熊の手」カツレツ(レシピ)

Yulia Mulino
 名前だけを聞くとこの料理はすこし気味悪い。それも尤もで―この時代に誰が熊の肉を食べると言うのだ。しかし、心配はご無用。名前を森に住む巨大な住民から借りているだけだ。この料理をつくる上で熊の肉を使うことはありえない。

 この「熊の手」カツレツの始まりの物語はとても奇妙だ。伝説によれは、昔モルドヴィア(モスクワの南東450キロに位置する地方)に住む若者たちは、熊を一頭でも殺さないと嫁をもらうことは出来なかった。その当時、それが人前の男になったことを示すひとつの方法だったのである。狩りが成功したことを証明するために、花婿は花嫁に焼いた熊の手を贈らなければならなかったのだ。しかし、心配はご無用。今では、モルドヴィアにおいて熊はいわゆるレッドリストに載せられており、絶滅危惧種になっている。ここで紹介する「熊の手」は、実際の熊の肉を使う訳ではなく、他の食材でつくる。

 現在、この料理はモルドヴィアの名物料理のひとつになっており、結婚を祝う席で出される一方、レストランのメニューにもあり、また、家庭でもつくられる。

 これは、サイコロ状に切ったパンをまぶした大きな平たいカツレツである。肉は豚か合い挽きの挽肉を使う。この挽肉にはレバーが必須で、牛肉を鶏肉使うこともある。挽肉をつくるとき、肉の量はレバーの4倍以上でなければならない。この料理でレバーは重要だが、独特の味であるため、あまり入れ過ぎないようにする。風味もそうだが、調理方法もその理由のひとつだ。

 レバーを入れると挽肉がより水っぽくなる。あまり多すぎると、カツレツを成形するのが難しくなるのである。一般的に、カツレツの大きさは、手のひらサイズより大きくしない方が良い―そのほうが焼くのに時間がかからず、フライパンの中で扱いやすいからだ。

 一方、作り方は簡単で、材料も基本的なものばかりである。しかし、出来上がりは驚くべきものになる。熊の手にうまく似せるには、パン片を散りばめることが重要だ。しかし、普通のパンくずではない。パンを5ミリ角のサイコロ状に切って作るのである。料理人は熊の爪にみせるために、特に細長いパン片を使うこともある。パンは小麦粉を使った白パンだとよりソフトな食感になるし、ライ麦パンだとより荒々しい食感になる。色味で言うとライ麦パンの方がより毛むくじゃらの熊の手に合うだろう。

 「熊の手」を家でつくると、風味がとても良く、中はジューシーで外側はカリカリのカツレツができあがる。とても栄養価の高いこの料理は、野菜やサラダなどの軽めの副菜と一緒にいただくとなお良い。

合わせて読みたい:ロシア人なら誰でも大好きな鶏肉のカツレツ3つ>>

材料(5〜6枚分):

  • 豚肉 400g
  • 鶏のレバー 100g
  • 卵 1個
  • タマネギ 1個
  • パン粉 250g
  • 塩、コショウ お好みで
  • 植物油(調理用)

作り方:

1. 豚肉を肉挽き器で挽く。

2. レバーを加える。

3. タマネギをみじん切りにする。タマネギの一部を軽く炒め、残りのタマネギと合わせる。こうすることで肉をより柔らかく、ジューシーにする。

4. 卵を加える。

5. 塩コショウで味を調える。

6. 肉を5分ほど手でこねる。最初はやや水っぽいが、肉が水分を吸収するので、次第に固くなる。こねたら、冷蔵庫に入れ、30分ほど休ませる。

7. 調理しやすいよう、手のひらより少し小さめに成形する。

8. パン粉をまぶし、少し押しつけるようにする。

9. フライパンの底全体に油をひき、カツレツを並べ、中火で両面を4分ずつ焼く。

10. 天板に移し、180℃のオーブンで20分焼く。

11. 野菜やハーブを添えて盛り付ける。どうぞ召し上がれ!

ロシア・ビヨンドがTelegramで登場!是非ご購読ください!>>>

もっと読む:

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる