「ババ」とか「バープカ」と呼ばれるケーキは、ポーランドからロシアに伝わり、北西地方で広まった。レーズンを多く使ったロシア伝統の甘く濃厚なクリーチと異なり、バープカは軽くて気孔がいっぱいで、お祝いの席で食べるものだ。バープカをつくるとき、生地をよく膨らますためになにも混ぜ合わせない。ババは背を高くつくる。その昔、これを焼くときによく言ったものだ。バープカを取り出さなければ、オーブンが壊れてしまう。
この復活祭のケーキの焼き方としてロシアでもっとも有名なものはおよそ100年前にペラゲヤ・アレクサンドロワ-イグナチェワの本に書かれたものだ。料理指導者として彼女はレシピを紹介するだけでなく、このクリーチのつくり方を詳細に述べている。今でもなお家庭の主婦の間でよく知られているのはこのためである。
たとえば、ペラゲヤはこの本の中で、生地は時間をかけてよく捏ね、卵黄は白くなるまで泡立てるとしている。そして、焼くのはロシアのペチカだ、これを使うとむらなく焼けるだけでなく、冷めるのもゆっくりなのでババが崩れ落ちることがないのである。時間を経て、これらの注意点のすべてが現在もためになるわけではない、たとえば、近代的なオーブンは熱を均等に与えてくれる。
多くの卵黄を使うので、ババはとてもふわふわに焼きあがる。この本で「レースババ」と呼んでいるのはそのためだ。実際に生地は4倍に膨らみ、クリーチはとても軽く、気孔がたくさんできる。伝統的なクリーチと違い、「レースババ」に使うバターと砂糖は少なめだ。
甘いものが好きな人は、復活祭だけでなく、いつでも簡単に作れる。小さな型で焼くこのクリーチはシロップに漬けるのにピッタリである。ここでは、家族の誰もを喜ばせるクリーチを1つと6つのラムババを作ってみよう。
1. ドライイーストをクリームに溶かす 。
2. 小麦粉半量弱をクリームに入れ、混ぜる。なめらかになるまで混ぜ、ラップで覆い、温かい場所に2〜3時間置いて発酵させる。
3. 卵黄に粉砂糖と塩を入れ、白いふわふわの泡状になるまで泡立てる。バニラシロップなどお好みの味を加える。ここではバニラビーンズを使う。
4. 室温に戻したバターを白っぽくなるまで泡立てる。
5. 2〜3時間経過した生地はブクブクと発酵しているのを確かめる。
6. 生地をミキサーのボウルに入れ、卵黄と残りの小麦粉を一度に入れ、こね始める。ボウルの両端につかなくなるまで10〜15分こねる。
7. バターを加え、さらに5〜10分こねる。
8. 生地を丸め、ラップで覆い、室温で発酵させる。
9. 2時間待つ。
10. 生地をこね、2等分する(10センチ型2台分)。あるいは、クリーチ1つとラムババを6つ作ってもよい。焼き型の底にベーキングシートを敷く。ここでは周囲にはバターを塗らない。
ラムババの型には植物油を塗る。生地をボール状にまとめ、型に入れる。
11. 気密性の高い場所で発酵させる。ここでは、電源の入っていない冷たいオーブンに入れる。生地は2倍ほどに膨らむ。オーブンからそっと型を取り出し、オーブンを190度に予熱する。
12. 表面に牛乳と砂糖を混ぜたものを塗る。
13. オーブンに入れ、温度を180度に下げる。小さなラムババは10〜15分したら取り出す。
14. クリーチは35分焼く。竹串を刺して、中が焼けているかチェックする。
15. クリーチとラムババをペーパータオルかラックに乗せ、時どき裏返す。
16. クリーチの表面にアイシングをする。
17. ふわふわなので、カットするとき、崩れないよう注意すること。
18. ラムババは冷ます。熱いうちにシロップに浸すというやり方もあるが、ここでは冷ましてから浸す。
シロップは、水と砂糖とオレンジピールとバニラを混ぜて火にかけて作る。沸騰してから3分ほど煮て、粗熱をとる。
19. ラム酒を加える。
20. ラムババは温かいまま冷たいラム酒に浸し、休ませる。
21. あっさりした甘味の少ないものがお好みの方は、そのまま「レースババ」クリーチをいただく。
22. 甘いもの好きな方は、ラムババと一緒に召し上がれ。
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