ロシアでキノコのスープは、もっとも好きな料理のトップ3に入るだろう。作り方もいろいろあり、新鮮なポルチーニ茸の夏のスープや、乾燥キノコのスープなどがある。昔は、キノコを入手するには森に行くしかなかった。しかし今では、マッシュルーム、ヒラタケ、シイタケなど温室で栽培されたキノコも多く手に入るようになった。
かつてロシアでは、マッシュルームは怪しいものだとされていた。この理由はおそらくマッシュルームが生ごみ捨て場などに生えていたからだろう。そして、マッシュルームは森に生えているものではないので、魂がないと信じられていたのである。
ロシアではマッシュルームは「ペチュールカ(小さいペチカの意)」と呼ばれていた。その白く丸いカサが、昔の木を燃やすペチカに似ていたからだ。しかしながら、1917年の革命の以前にもマッシュルームを栽培していた地方もあった。
ロシア南部ロストフ州に住んでいたエフィム・グラチョフは、キノコの中に食べ物としての魅力だけでなく、ビジネスの要素を見出した最初の人物の一人である。グラチョフは温室でキノコや野菜を栽培し、もっとも成功した園芸家で、企業家の一人となった。
普通の農家に生まれたグラチョフは、子どもの頃から農業というものをよく知っていた。そして貯めた資金を集めて1848年にサンクトペテルブルク近郊で、キノコ、アスパラガス、その他の野菜の栽培を始めた。
グラチョフは温室で1年中、キノコを栽培できる技術を開発し、そこで1本の木に400のキノコを育てた。グラチョフはロシア内外で知られるようになり、パリの農業アカデミーのメンバーにもなった。彼はその革新的なキノコ栽培の方法を惜しみなく人々に広げ、農業雑誌にも定期的に記事を投稿した。そして彼の技術は今でも使用されている。3月29日はロシアではマッシュルームの日が祝われているが、それはグラチョフの誕生日である。
というわけで、このマッシュルームの日を祝うために、ここではグラチョフが生きていた時代に人気のあったキノコスープの作り方を紹介する。このスープは特に精進期に食されるものでる。サワークリームはキノコスープによく添えられるものであるが、ヴィーガンバージョンもとてもおいしく作ることができる。スープにはパール大麦、ジャガイモなどが使われていることから、栄養たっぷりである。
マッシュルームは野生のキノコほど強い香りがないが、野菜やキノコを水に直接入れるのではなく、予め炒めているため、香ばしい香りがする。また新鮮なハーブやスパイスが風味をより豊かにしてくれる。
1. 玉ねぎとニンジンは皮をむき、角切りにし、柔らかくなるまで炒めたらボウルに入れる。
2. キノコは洗って、乾かし、小さく切って、同じフライパンで玉ねぎとニンジンと一緒に炒める。
3. パール大麦に水を注ぎ、スパイス、塩コショウを加え、火にかける。小麦にはいろいろな種類があるので、パッケージに書かれている調理法に従ってスープを作る。ここでは短時間で作れるものを使う。
4. ジャガイモも皮をむき、千切りにする。
5. ジャガイモは小麦が出来上がる15分前に加える。
6. ジャガイモがほぼ出来上がったら(10分ほど)、炒めたニンジンとキノコを加える。材料に火が通るまで煮る。
7. スープを火からおろし、ハーブを加える。
8. ライ麦パンと一緒にいただく。
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