ロシアでは、結婚式には特別な料理を作る習慣がある(結婚式の料理にはどんなものがあるのかを知りたければこちらから)。そんな料理の一つがクールニク。大きいドーム型をしたきれいな焼き色が艶やかな多層パイである。「クールニク」という言葉は、このパイの材料の一つである鶏を表すロシア語「クーリッツァ」からきているとされるが、パイの真ん中に開いた穴から蒸気が出てくる(ロシア語の動詞「クリッツァ」)からだという説もある。
花嫁と花婿の両親は、結婚式の日にこのクールニクを新郎新婦にプレゼントする。これは単なるご馳走ではなく、その飾りやフィリングに、たくさんのシンボルが込められた大切な贈り物である。
花婿には人間の形が飾られたクールニクを受け取る。これは大家族になりますようにという願いが込められたものである。一方、花嫁が受け取るのは、花や植物の飾りがついたものである。これは美と子宝に恵まれますようにという意味がある。
パイのフィリングにも意味がある。穀物は豊かさのシンボル、鶏肉と卵は子孫繁栄のシンボル、そして花は調和と生命のシンボルである。
伝統的なクールニクには、穀物(お米か蕎麦)、鶏肉、そしてマッシュルームという3つのフィリングがあるが、実際には多くのバリエーションがある。たとえば、穀物の代わりにジャガイモとマッシュルームとキャベツを入れたり、ときには鶏肉を入れずに作ることもある。ここではお米、マッシュルーム、卵をフィリングにした。鶏肉で作るよりも、柔らかく、少し軽く作ることができる。
ロシア南方では、鶏肉を入れて作ることが多い。北方では魚である。フィリングによりよい風味とジューシーさを出すために、炒めたタマネギ、にんじん、卵、ハーブなども加えられる。クリームソースを入れるレシピもある。柔らかいブリヌィ(パンケーキ)が層の間に入っている。このすべてが、カリカリの食感を作るショートブレッド生地の中に入っている。
クールニクを作るのは、手間もかかり、時間もかかるが、ウェディングやその他のお祝いのテーブルを明るく彩る素敵な一品になる。その場にいる人々を喜ばせること間違いない。面白いことに、伝説によれば、クールニクはイワン雷帝のお気に入りの料理の一つだったと言われている。
というわけで、結婚する新郎新婦に意義深いギフトを送る、あるいは招待客をびっくりさせたいという人は、ぜひこのクールニクを作ってみてほしい。層とフィリングは多ければ多いほどよい!
1. フィリングを最初に作る。お米を沸騰させ、お好みで固形のマッシュルームブロスを入れる。固形のブロスを入れない場合は塩で味を調える。
2. 卵4個を茹でる。茹でたら、フォークで刻み(3個は6でフィリングに使う)、ディルと一緒にお米に加える。タマネギを刻んで、透明になるまで炒め、お米に加える。
3. マッシュルームのフィリングを作る。タマネギをみじん切りにし、油とバターで柔らかくなるまで炒める。
4. マッシュルームは角切りにし、タマネギに加える。
5. 柔らかくなるまで7〜10分炒め、塩コショウで味を調えたら、粗熱をとる。
6. ゆで卵3つは細かく刻む。ネギを刻んで、柔らかくなるまで炒める。塩コショウで味を調える。
7. 生地の材料をすべて入れ、柔らかくフワッとした生地になるまでこねる。
8. ラップをして、30〜40分休ませる。
9. パンケーキの生地を作る。深めのボウルに、卵、塩、砂糖、牛乳の半量を入れ、ダマができないようしっかり混ぜる。残りの牛乳を加える。油と入れ、焼く前にしっかり混ぜる。
10. ブリヌィを熱い鉄板で焼く。ここでは直径18㌢のブリヌィを7枚焼く。
11. 生地を3つに分ける。一つは装飾用に少量にし、残りを底と表面用に2等分する。
12. ベーキングペーパーに、ブリヌィよりも少し大きめの生地をのばす。
13. 上にお米のフィリングを置く。ジューシーさを出すために表面に小さく切ったバターを乗せてもよい。タマネギを炒めるときにバターをたくさん使うので、これは使わなくてもよい。
14. ブリヌィで覆い、マッシュルームのフィリングを上に置く。
15. 卵のフィリングを作る。ブリヌィとフィリングが終わるまで繰り返す。
16. 最後のいくつかの層は、球形にするためにフィリングを入れずに作る。最後のブリヌィは、生地の層が平らになるように乗せる。
17. 2つ目の生地でパイを覆う。端を留める。
18. 残りの部分をお好みで飾り付ける。
19. パイに卵液を塗る。
20. 180℃に予熱したオーブンで30分ほど焼く。
21. 熱々で出すのが理想的だが、少し冷めてもおいしい。どうぞ召し上がれ!
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