シャーベット:エキゾチックなルーツをもつソ連のキャラメル・デザート(レシピ)

ロシア料理
オリガ・ブロフキナ
 よだれが出そうな濃厚なキャラメルナッツのデザートは作るのも食べるのも楽しい。

 ソ連時代に生まれた人の多くは、ロシア全土に広まっていた、ピーナッツ入りのクリーミーなとても美味しいシャーベットのことを憶えているだろう。このスイーツはそれほど人気があったが、興味深い裏話については知らない人が多い。

 概して、東洋のスイーツは遠方からやって来て、たちまちロシア人の食生活の中に溶け込んでいく。しかし、実のところ、東洋において、「シャーベット」というと「甘い飲み物」を意味し、スパイスの入ったフルーツ・ジュースを指す。しかしながら、ロシアでは、「シャーベット」と言えば、ナッツの入った四角いスイーツで、トルコ菓子のロクムに似ているが少し違うものだ。ロクムはベースに果物が多く使われているが、ロシアのシャーベットはヌガーの一種がベースになっている。

 ロシア料理の歴史研究家であるウィリアム・ポフレプキンによれば、これは菓子工場で働いていた工員が無知であったために起こったことで、彼らは「シャーベット」という語を、小さく四角に固められたミルクとファッジのことに使っていたのだ。   

 実のところ、このロシアのシャーベットは作るのがとても簡単で、子供の頃、このスイーツがお店でも家庭でもたいへんよく見かけたのはこのためだ。多くの人に信じられていることとは逆に、このシャーベットは、ナッツをふんだんに使っているのでビタミンと植物性脂肪が豊富で、驚くほど美味しく、栄養いっぱいなのである。

 わたしは、このシャーベットを再び毎日の生活に取り戻したいと思っている。そして毎日おいしくいただけるように、蜂蜜を加えて粘度を増し、コクを出すために粉乳を入れるようにしている。中に詰めるのには揚げピーナッツが最適だ。もちろん他のナッツでも十分美味しい。しかし、経験から言って、レシピにある比率は変えない方がよい。でないと、このスイーツそのものが台無しになってしまう。注意してほしいことは、このシャーベットは料理用温度計を使って115度から118度の温度で調理すること。

材料:

12人分

作り方:

1. ナッツをフライパンに入れ、5分ほどローストする。

2. ナッツが冷めたら、皮をむく。

3. 小さな鍋に生クリームと粉乳を入れる。ダマができないよう少しずつ温め、滑らかにしたら、粗熱をとる。

4. 大きめの深鍋(2〜3リットル)を用意する。調理の過程で、中に入れる材料が沸騰し、膨らんで、吹きこぼれないよう十分な大きさのものを選ぶこと。砂糖を鍋に入れ、すぐにバターとハチミツを加えると、より柔らかく、固まらない。

5. 鍋を弱火にかけ、シロップを作る。最初の4〜5分は混ぜないこと。砂糖の粒が溶けて、カラメルが少しずつナッツの色になる。塩を加えるのを忘れないこと。味を調和してくれる。砂糖が溶けたらすぐにスパチュラですべてを混ぜ、茶色っぽいシロップにする。

6. 次に、温めた生クリーム(牛乳)をそっと鍋に注ぐ。沸騰したカラメルに液体を入れると、泡ができる。必ず混ぜること。

7. カラメルがクリームに溶け、沸騰し始めたら、時間を確認し、中火で20〜30分煮る。かきまぜ続けること(半量で作る場合は、半分の時間でよい)。

8. クリームが少しずつどろっとしてきたら、温度計で温度を測りながら、115〜118℃まで煮る。

9. 指定の温度に達したら、火を消し、スパチュラでピーナッツを加える。

10. 60〜70℃まで冷ます。

11. 次に、スパチュラで、しっかり混ぜ、シャーベットをどろっとさせる。すぐに型に流し込まないこと。固く、結晶化してしまうから。10〜15分くらい混ぜたら、スパチュラで混ぜにくくなるほどどろっとしてくる。

12. 型に流し込む。ここでは、後で外しやすいよう、シリコンの型を使う。シリコンの型がない場合は、お皿を用意し、底とサイドにラップを敷いて使う。シャーベットが室温まで冷めたら、数時間、冷蔵庫に入れ、固める。

13. 紅茶と一緒に召し上がってください!

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