多くの菓子職人が、ブランマンジェはいつの時代にも不当に忘れられてしまったデザートの1つであると考えている。ヨーロッパでは、中世以降、このデザートはとても人気がありよく作られた。最初はフランスで生まれたこのアーモンドミルクから作られたプディングは、すぐにヨーロッパのほぼすべての国の料理に取り入れられた。ブランマンジェは18世紀にロシアにも伝わり、裕福な家で作られるようになった。フランス人コックや菓子職人を雇うことが出来たからだ。この慣行はロシアに料理をまさに変化させ、数多くのフランス料理がロシアの食卓に上がるようになった。ブランマンジェもその中の1つだった。ロシア貴族はこのフランスのでデザートがとても気に入ったので、ブランマンジェはすぐに素晴らしい料理とセンスの良さのシンボルとなった。このことについては、プーシキンやチェーホフと言った著名なロシアの作家たちの多くの文芸作品の中でも描写されている。プーシキンと言えば詩人として有名なだけでない。貴族の生活様式に対して辛辣であり、おいしい料理に目がなかった。ある詩の中の主人公もブランマンジェを食しているが、プーシキンは実生活でもこのデザートが大好きであった。しかし、今では、ブランマンジェの人気はまったくなくなり、パンナコッタや新しいプディング、ムース類に取って代わられた。
このデザートの名前は、古いフランス語であるblanc mangier、すなわち、文字通り「白い食べ物」から来ている。伝統的には、もっとスフレのような食感で、牛乳またはアーモンドミルク、砂糖に加え、驚くことに天然の濃化材としてチキン・ストックも使われていた。後になって、ゼラチンやコーンスターチに代わり、ブランマンジェはプディングのようにより甘く、濃厚になった。今日では、ブランマンジェには何十種類ものバリエーションがあり、使うものも、クリーム、米、サワークリームやトヴォーログ(カッテージチーズ)さえある。今から紹介するレシピは、いわゆる「ロシア」の食材である、サワークリームを使うことで見た感じもオリジナルものとは違う。少し酸味があり、違うレベルの味となる。さらに、アーモンドミルクだけでなく、細かく挽いたアーモンドのつぶつぶ感が残る、それでいてなめらかな食感のデザートとなっている。
1.最初に重要な行程であるアーモンドの処理をする。アーモンドの上から熱湯をかけ、数分置いておく。水気を切り、数分間冷水に浸す。皮が簡単にむけるようになるまで、この作業を2–3回繰り返す。
2.皮をむいたアーモンドを冷水の入ったボウルに入れ、アーモンドが白っぽくなるまで1時間ほど置いておく。
3.その間にゼラチン粉に水大さじ3を加えてよく混ぜ、柔らかくなるまで10分ほど置いておく。
4.アーモンドの水気を切り、ブレンダーで細かく砕く。すりこぎとすり鉢を使ってもよい。
5.アーモンドを生クリームに加えてなめらかになるよう混ぜ合わせ、鍋に移す。
6.砂糖と柔らかくなったゼラチンを加え、火にかける。かなり熱くなるまで火にかけるが、沸騰させないように気をつける。砂糖とゼラチンが完全に溶けるまで混ぜ続ける。火からおろしたら、冷まして室温に戻す。
7.新鮮なイチゴを角切りにし、ブランマンジェを飾る。イチゴの代わりに季節のフルーツを使ってもよい。
8.アーモンドクリームが冷めたら、サワークリームを加え、なめらかになるまでスパチュラなどでかき混ぜる。よりクリーミーな味にしたければ、サワークリームの代わりにあわ立てた生クリームを入れる。
9.ブランマンジェをシリコン型に入れ、表面に小さく切ったベリーを乗せて、冷蔵庫に入れ、最低3時間待つ。
10.ブランマンジェを型から外し、イチゴとミントを飾り、コーヒーと一緒にいただく。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)
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