食材使い切りレシピ:残った食材を上手に使いながら、おいしく食べられるロシアの8つのレシピ

ロシア料理
マリア・アフォニナ
 冷蔵庫の中に、痛みかけている食材があるとしよう。しかしそれはすぐに捨てる理由にはけしてならない。少しばかりのファンタジーと時間を使えば、あなたの料理は新しいものに生まれ変わるのだ。

 18世紀から19世紀にかけて、ロシアでは食べ物を保存するのに、次亜塩素酸カルシウムやサリチル酸、香草をいぶす方法などが使われた。さらに長期間保存する場合は酸素の流入を防いだ。蜂蜜のシロップや蜜蠟、卵白などを使うのが主だったが、それ以外にも砂、灰、穀物の中に埋めるという方法もあった。

 食材は、嫌な臭いさえしなければ食べても良いとされていた。1808年発行の「料理人のカレンダー」に記されているような、肉に砂糖を擦り込むといった手法を奨励することはしないが、食べ頃を過ぎた食材を使った料理をいくつかご紹介したい。.

1.残った肉で作るソリャンカ

 ソリャンカは冷蔵庫に残っているどんな種類の肉でも作れるスープだ。ウィンナーが1本、ソーセージ2切れ、夕食の残りのチキンフィレ、朝食の残りのハムがあれば、自信を持ってソリャンカ作りを始めよう。“おいしい”肉にピクルス、オリーブをいくつか、シワになったトマト、そして干からびたレモンを加える。あら不思議、これでおいしいスープが出来上がるのである。

2.ザペカンカ

 冷蔵庫にこれというものが何もないときは、あるものを全部集めて、ザペカンカの中に入れてしまおう。ザペカンカはジャガイモ、マカロニ、そばの身などどんな残り物でも作れる。

 そんなザペカンカの作り方はいたってシンプル。タマネギは輪切りにして、チーズはおろし器でおろす。昨日の残りのそばの実カーシャ(粥)の半分をバターを塗った焼き型に入れて、チーズの半分とタマネギを乗せる。香草と調味料をお好みで加える。そこに残り半分のそばの実のカーシャとチーズを乗せ、上から溶き卵をかけ、20分ほどオーブンで焼いたら出来上がり!

3.肉入りピロシキ

 ロシア人はピローグが大好きなので、中に入れる具のバリエーションは数え切れないほどある。あなただけのオリジナルのピローグを作ろう。乾燥してしまったソーセージかその他の肉の加工品を冷蔵庫から取り出し、炒めたタマネギとニンジン、ご飯の残りと細かく刻んだ香草と一緒に蒸せば、おいしい具の出来上がり。あとは生地を作るだけ。

4.ダゲスタン風野菜オムレツ

  もしかしたらあなたはいつも朝食にダゲスタン風オムレツ「マンジルマク」に似たものを食べているかもしれない。ただそれを知らないだけで。ダゲスタン風オムレツのクラシカルなレシピをご紹介すると、タマネギを輪切りにし、サラダ油で生焼けの状態まで焼く。その上に輪切りにしたトマトと生のままおろしたジャガイモを乗せる。お好みで塩コショウする。これを10分弱火で蒸す。この間に卵を割って、塩を加えておき、蒸した野菜の上に流し込み、卵に火が通るまで弱火で蒸す。ジャガイモに完全に火が通るまで25分くらいかかる。出来上がったオムレツはひっくり返して、香草をかける。冷蔵庫に残っているどんな野菜でも使える。またゆでたジャガイモと卵でも作れる。

5.グレンキ(クルトン)

 古くなったパンはおろしたチーズと卵をつけてオーブンかフライパンで焼いておいしいグレンキに。固くなったパンはスハリキ(クルトン)にしてスープかサラダに入れよう。パンは細長く切って、天板に並べ、オーブンで黄金色になるまで焼く。クルトンを肉挽き器にかければパン粉になり、ポジャルスキー風カツレツやカリフラワーのフライに使うことができる。

6.甘いお米のビトーチキ(お米のカツレツ)

 残りご飯があるときは何ができるだろう?ご飯のカーシャ(粥)にカッテージチーズと卵、砂糖と小麦粉を大さじ数杯を混ぜ、ヴァニラをひとつまみ加える。お好みでレーズンを加えてもよい。甘さが足りないと感じるようなら砂糖を、生地が柔らかいような小麦粉を足す。そしてビトーチキの形に整え、小麦粉をまぶし、フライパンで焼く。 

 詳しくはこちらでどうぞ。

7.オートミールのペチェーニエ(クッキー)

 朝食にカーシャ(粥)をたくさん作りすぎたときは、甘いクッキーで自分にご褒美を。卵に砂糖を加えてミキサーにかける。オートミールの粥を加えてさらにミキサーにかけ、植物油を大さじ3入れる。膨張剤を小さじ1/2加え、小麦粉(粥200gに対し小麦粉100g)と香りづけのバニラを少しずつ加えたら、粘り気が出るまでこねる。クッキーの形に整え、天板に並べ、予熱200℃に温めたオーブンで10-15分焼く。

 クッキーの中にはレーズン、アンズ、プルーン、イチジクなどを加えてもよい。ただしフルーツが生地から大きくはみ出していると、焦げてしまうので注意すること。

8.料理用のソースとエバーグリーン

 ベリー類や野菜からはソースを作ろう。熟れすぎたトマトはトマトペーストに。ちなみに残ったソースは製氷器に入れて冷凍庫に入れておけばいつまでも保存できる。葉物も同様に保存できる。オリーブオイルとニンニクと一緒にブレンダーにかけるか、単に熱湯をかけておくだけでもよい。そうしておけば、数ヶ月後でもスープに入れたり、ラグー(煮込み)に入れることができる。