うずら狩りとうずらの食事はいつもロシアの富裕層の伝統であり歴史であった。1917年以前、ロシアで、うずらは3つの目的で狩猟された。食べ物として、鳴き鳥を楽しむペットとして、そして闘鶉のためである(実際に行われていた)。
19世紀末、食料品の冷蔵保存がロシアで普及する前、うずらは特別なときに、そして夏にしか食べられていなかった。うずらは生きたままケージに入れて購入し、太らせ、サンクトペテルブルグの市場で販売された。値段は一羽35コペイカほど、または大きなものだといくつかで1ルーブルということもあった。これはクロライチョウと同じくらいの値段であった。
当時、太らせた国産のカモが60コペイカから1ルーブルだったことを考えれば、うずらはかなり高価なものであったことが分かる。それほど高価だった理由は輸送コストが高かったこと、またうずらの飼育が行われている過疎の牧草地で小さなサイズのうずらを捕獲し、販売まで保存するのは簡単ではなかったからである。その結果、うずらは主として貴族の食卓を飾る珍味と考えられるようになった。
当時、夏季のうずら狩りは小麦の収穫が終わったあとに始まった。1917年まで施行されていた法律では、3月1日から7月半ばまでうずら狩りは禁止されていた。例外となっていたのは、ネットを使った雄のうずらの捕獲で、これは5月1日から許されていた。狩りは早朝または夕方に主に行われたが、とりわけ露がないときだけであった。価値の高いうずらの声は、穏やかな天候の日には2キロ離れていても聞こえたという。
うずら狩りの方法はさまざまであった。ライフルや鷹、その他小さな獲物を捕らえるのに一般的だった方法以外に、うずらはネットでも捕獲された。
有名なロシアのフードライターであるウィリアム・ポフリョプキンは、うずら料理はいつでもご馳走でフォーマルな料理であったが、今もそれは変わらない。どんなうずらを選ぶのかはもちろん非常に重要であると書いている。ポフリョプキンによれば、若くて、正しく撃たれている(つまり、羽と足だけを狙われ、胸の部分は傷がない)方が良いという。またうずらは他の鳥に比べても、よりおいしく、よりマイルドな味のパーティ用の狩猟肉とされた。狩猟肉の選び方に加えて、きちんと料理することも当然もっとも重要なステップの一つだ。ポフリョプキン曰く、「ロシア料理では、うずらのような小さな狩猟肉は焼いて食べるのが一般的で、片手鍋で弱火でじっくり焼き、うずらそのものの肉汁と脂身をかけて供された。ロシア料理では、頭と内臓は詰め物には使われず、その代わりに鶏のレバーに季節のフルーツ、きのこ、ベリーを混ぜ、詰め物に柔らかい風味を加えた」。
現在はうずらの捕まえ方を知る必要はない。店に行けば買えるようになったからである。しかしこの古代からあるうずら料理を食べれば、貴族のような気分になることは間違いない。
材料:
- うずら 4羽
- 鶏のレバー 300g
- 青リンゴ 2個
- ベーコン 100g
- タマネギ 3個
- ニンニク 3-4片
- バター 50g
- 塩、砂糖、コショウ 適宜
作り方:
1.うずらと鶏のレバーの余分な脂肪や組織を取り除いて下処理し、水分を取る。
2.鍋を温め、熱くなったらつぶしたニンニクと鶏のレバーを入れる。両面が黄金色に色づくまで焼く(中はややピンク色が残っている状態)。ニンニクと一緒に火から下ろす。粗熱が取れたら、レバーを小さく角切りし、にんにくを刻む。
3.ベーコンを角切りか薄切りにし、中火にかける。脂肪が溶け、ベーコンがうっすら色づきカリカリになるまで焼く。ベーコンを取り出したら、ペーパータオルの上に置いて余分な油を取り除く。それからベーコンをより小さく切る。ただし鍋の中のものは捨てずにおいておく。
4.リンゴは皮をむき、小さな角切りにする。ベーコンから出た脂を使って揚げ焼きにし、塩コショウ、少量の砂糖を加える。リンゴが柔らかく煮えたら、スプーン1杯のバターを加え、もうしばらく煮る。
5.ボウルにリンゴ、ベーコン、ニンニク、レバーを入れる。塩コショウをしっかりめにしたら、うずらの中に詰めていく。
6.その間に玉ねぎを切り、少量のサラダ油で焼く。ときどき水を加える。タマネギがしんなりし、少し水分が出てきたら、砂糖、塩、コショウ、バターを加え、濃い飴色になるまで炒める。
7.鉄製の深鍋か片手鍋を温め、うずらを片面2分ずつ焼く。
8.表面がカリカリするまで焼いたら、うずらを取り出し、その鍋にタマネギを移す。少量の水を加えて、タマネギの上にうずらを乗せる。蓋またはアルミホイルを被せて、220℃で15分焼く。それから蓋を外して2〜3分焼き目をつける。鍋を取り出し、粗熱を取る。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)