新型コロナウイルスの流行でロシアにおける経済活動の大半が停止している中、ロシア経済発展省は国家の財政支援を受けるべき企業のリストを更新した。
4月2日、当局は646社の「戦略的に重要な企業」を公表した。これらの企業はロシア経済の安定に深く関っているため、今後注視され、必要に応じて政府が特別な支援を行うことが検討される。
エネルギー関連企業からファストフード・チェーンまで
リストには、エネルギー関連企業(ガスプロム、ロスネフチ、ルクオイル、ロスアトム)、航空会社(アエロフロート、S7、ウラル航空、ポベーダ)、空港(シェレメチエヴォ、ドモジェドヴォ、プルコヴォ)、農産物・飲料品メーカー(マクファ、ダノン、コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ、ミラトルグ、エールマン)、食料品店チェーン(フクースヴィル、レンタ、アズブカ・フクーサ、メトロ、ビラ)、小売業者(イケア、スポルトマステル、H&M、フィックス・プライス)、オンライン小売業者(オゾン、ラモダ、ワイルドベリーズ)、IT企業(メール・トーチカ・ルー・グループ、ヤンデックス)、さらにはファストフード・チェーン(マクドナルド、バーガーキング、ピザハット、KFC)も挙がっている。
これらの企業は、国家の支援を受けるだけでなく、6ヶ月間の破産申請猶予(ないし支払いの先延ばし)を得る可能性がある。これはパンデミックの影響を最も大きく被っている産業の企業に対する救済策と同じだ。
4月5日、経済発展省はリストがさらに更新され、4月10日に公表されるだろうと発表した。
世論の反応
ところで、今回の更新で最も議論を呼んだのが、ロシアのオンライン・スポーツ賭博企業、フォンベットがリストに加えられた可能性があるということだ。リストに加えられた理由は、同社が「全国の賭博場の広いネットワークを持つ大きな雇用主である」ことだという賭博業界情報筋の話をBBCは引用している。
ロシア商工会議所ブックメーカー・トータリゼーター委員会のニコライ・オガネゾフ委員長も、フォンベットがリストに加えられたと考えている。同社が利益水準の高い多額納税者だからだ。「私個人としては、賭博企業が『戦略的に重要な企業』がリストに加わり、何らかの国の支援を受けることは支持できない」と同氏は認める。
世論もまた二分されている。インターネット上でフォンベットをリストから除くことを求める請願書を出した人もいる。「ロシアで賭け事は禁止されていないが、カジノやその他のギャンブルと同じではない。納税者はフォンベットが国家の支援を受ける資格を得ることを良しとしないだろう」とそこには書かれている。
そもそもリスト自体も世論を刺激している。欧米企業や酒造会社を含んでいることが完全な欠陥だという人もいれば、ロシア経済の現実を反映しているだけだという人もいる。
「これは経済を保っている主な『レンガ』を示してはいるが、個別の企業や個々人を考慮に入れていない」とある人はコメントしている。
「コカ・コーラ、マース、KFC、バーガーキングは実際に欧米企業だが、私たちは彼らがすべてロシア産の原材料を使っており、彼らがロシア市場を去ったら私たちにとって具合が悪いという事実を忘れている」と他のインターネットユーザーは記している。