なぜロシアのインターネットはそんなに安いのか?

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 ロシアはインターネットが世界で最も安い国のひとつだということをご存じだろうか? ブロードバンド接続の平均月額料金は9,93ドルだが、北米やヨーロッパでは、この2倍(日本では約50ドル)も払わなきゃいけない。

 モスクワの物価はもちろん世界でいちばん安いというわけではないが、レストランで一回ディナーを取る値段で、メキシコシティなら2回食事ができる程度だ。ロシアのインターネットは驚くほど手頃な上に信頼できるものだ。ウラル山脈に近いチェリャビンスク市や、シベリアのほとんどの都市でも、驚くような安い料金で完璧に接続してくれる。

 おそらくそれがロシアでハッカーが活躍している理由なのだろうか? 結局のところ、ハッカーたちも速くて安いインターネットを享受していることになる。ロシアのインターネット料金に影響を与えているすべての要因をここでご紹介しよう。

1.余分な費用は一切支払わなくていい

 いくつかの研究によると、各国のインターネット料金は、全体的な所得レベルに影響されているそうだ。国が豊かになるほど料金は高くなる。

 驚くことではないが、アメリカ、スイス、オーストラリアといった生活水準の高い国々ではインターネット料金が非常に高い。こうした国々では、実際の費用よりも多い金額を払わなければならないのだ。なぜだろう? それは支払えるからだ。その国で生きる喜びとひきかえに払っているのだ。

 ロシアのオリガルヒ(新興財閥)たちはかなりうまくやっているが、一般的にロシアの国民はもちろん、すごく裕福というわけではないので、たくさん払いたくないし、払う必要もない。

2.成長を推進する教育 

 インターネット料金の影響を及ぼすもうひとつの要因は、ラップトップ、パソコン、携帯電話といったガジェットの数だ。問題は、それらの使い方を知っていなければならないということ。つまり、いくつかの基本的なスキルと教育も少し必要だ。

 メキシコやパキスタンといった貧しい国では、多くの人はほとんど読み書きもできない。ましてや、「アメリカの選挙状況をハッキングする方法」のマニュアルを探すために、何時間もGoogleに費やすなんてなおのことだ。ロシアでは、ソ連時代から子どもたちの教育は義務的となっている。ロシアで読み書きのできない人を見つけ出すのはとても難しいことだろう。

 その結果、ロシアで使用されているガジェット数は、先進国とほぼ同じだ。インターネットサービスの需要が高いため、オンライン・アクセスを供給する企業が成長している。

 ロシアのSTEM(科学・技術)も、歴史的に見てかなり良い状態にあり、90年代初めに国内でインターネットの開発が始まった際、多くの若手技術者が、好機が訪れたと考えた。それで彼らは自身の会社を設立したのだ。

3.競争が価格を下げる

 もっと貧しく教育が行き届いていない国々では、需要が低いためにインターネット・プロバイダーの成長が抑制され、そのために、ロシアよりも選択肢が少なくなっている。これは単に競争がどう働くかということだ。つまり、少しでも多くの企業がマーケットに存在するほど、料金は下がるということだ。

 現在ロシアには、数千社のインターネットサービス・プロバイダーがある。Rostelecom、BeeLine、MTS、Megafonのような大企業は別としても、各地域に小さな地元の会社がたくさんある。モスクワだけでも50以上のプロバイダーがある。

 もちろん、ロシアには接続状態がひどい地域もたくさんある。ツンドラの中に光ケーブルを敷設してみよう。というのも、統計によると、ロシアのインターネットの平均速度は、11.8Mb / sで、世界でもっとも早い韓国の28.6Mb / sとはかなりかけ離れているからだ。しかし、ロシアの都市部では、インフラもかなり新しく、繰り返しになるけれど、需要が非常に大きいために急速に発展している。

 しかしここ数年、ロシア国内のインターネットは問題を抱えている。LinkedInは、ローカルデータセンターにユーザーデータを保管するというロシア政府への協力に難色を示したために遮断されている。また、暗号化メッセージングアプリTelegramを遮断するとう試みは、数百万ものIPアドレスが遮断されることになった。

 大手のインターネット・プロバイダーも、マーケットに踏みこんで、シェアを拡大しようとしている。とはいえ少し遅すぎた。マーケットの需要があるとはいえ、独占の場はほとんどない。ハッカーはこれにはなんら関係ない。

 

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