―サハリンにできるのはどんな施設ですか。
日本で当社が展開する日帰り温泉「ほのか」とほとんど同じ施設になります。建物の床面積は4000平方メートルぐらいで、温泉とサウナ、岩盤浴、マッサージ室に、レストランも備えます。レストランでは和食を出しますし、接客を含めて日本と同じにするつもりです。ユジノサハリンスクは温泉が出る土地ですから、地面を掘って天然温泉の施設にします。今年のうちに着工して、2018年春に開業する予定です。
―敷地内に農園もつくるとか。
岩寺晴夫社長 土地が2.4ヘクタールと広くて、駐車場のほかに何棟かの貸別荘と、日本庭園をつくります。それから小型の温室栽培施設もあります。ここで育てた野菜をレストランで提供します。サハリンで流通している野菜は中国産が多くて、鮮度の問題や、残留農薬の不安もありますから。
―なぜロシアにつくることになったのですか。
3年ほど前、当社の札幌市内の温泉に何度も来ているというロシア人を紹介されました、その人が、ぜひサハリンに温泉施設をつくってくれ、と言うんです。それまで外国進出を考えたことはありませんでしたし、ロシアに行ったこともない。できないだろうと思いましたが、2014年の夏に招かれて初めてサハリンに行ったとき、できそうだと思ったんです。
―決め手は何でしたか。
ユジノサハリンスクには日本の温浴施設に似たスパがあったんですが、私たちから見ると衛生管理やサービス面で不十分な施設でした。それでも大人気で、いつも満員。これなら日本式の施設をつくれば必ず喜んでもらえると確信しました。
―ロシア法人をつくりましたね。
「ほのかサハリン」という社名です。登記が終わったのは今年の7月です。ロシア国内の法律変更などがあって少し時間がかかってしまいました。当社の持ち株比率は60%で、あとはロシア人パートナー2人が出資しています。パートナーは実業家ですが、温泉事業者ではありません。
―事業の総投資額はどれぐらいですか。
日本円換算で6億円から7億円ぐらいです。事業の計画を練っているときにルーブル安が進んだのは、日本から投資する立場で言えば結果的に追い風になりました。
―温泉の立地は、経済特区に指定されているスキー場「山の空気」のすぐ近くと報道されています。
はい、つい最近できたロシア正教会の隣になります。今は何もない、野原のような状態です。ちなみに温泉施設も経済特区制度が適用される見込みです。特区ですと輸入関税や所得税などが軽くなりますので、ビジネスとしてこれは大きいです。こういった制度がなければ採算性が大幅に低くなりますから。
―日本国内の「ほのか」は北海道と千葉に7店舗ですね。岩寺社長はこのビジネスは長いのですか。
実家が銭湯をやっていましたから、お風呂ということでは本当に長い(笑)。でも家業を継ぐ気はなくて20代まで石油会社に勤めていたんです。事情があって30歳で家業に入り、当時流行りだしたスーパー銭湯を始めたらこれが当たりました。社長を継いでからもう30年になります。私自身ボイラーや危険物取り扱いの資格も持っていますし、温浴施設については技術的なことを含めてかなり詳しいですよ。
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