ロシアの水産物の輸出入事情

ロイター通信撮影

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ロシアの年間漁獲量は約400万トンで、うち半分ほどが海外市場に輸出される。ロシアの漁業関係者のお得意先は中国、韓国、日本。一方で、輸入については、昨年8月の禁輸措置(対ロシア経済制裁への対抗措置)によって、イラン、チリ、グリーンランドなどの新しい国から水産物が納入されるようになった。ロシア連邦漁業庁のヴァシリー・ソコロフ副長官に、ロシアの水産物の輸出入について、ロシアNOWが聞いた。

 ロシア連邦国家統計局のデータによると、ロシアはここ3年、年間420430万トンの水産物を捕獲している。これは過去15年間でも好調な数字だと、ソコロフ副長官は話す。安定的な増加が始まったのは2009年以降で、毎年10%増になっている。

 「漁獲量のうち360370万トンの製品が得られる。このうち一部が輸出される。また輸入も行っている。輸出されるのは平均160180万トン、つまり半分ほどの量」とソコロフ副長官。だが昨年は、輸出も輸入もほぼ10%ずつ減少した。

 ロシアの漁船は自国の水域だけでなく、北大西洋およびアフリカ近くの海域も航行している。ロシアで販売されるのは主に冷凍魚だが、加工品も増加している。

 生・冷蔵状態の水産物の輸出も著しく増加している。「これは主に甲殻類で、国境局の活動、また大手企業がすすんで密漁防止に参加してくれたおかげで、今日、法的領域内の貿易を整備することができている」とソコロフ副長官。

 

ウラジオに競り市創設計画

 「従来から外国に輸出されているのは、漁獲量の約43%を占めるスケトウダラの冷凍品。430万トンのうち、130150万トンがスケトウダラとなっている。だが国内市場では、この魚の需要はない。主な輸出先は中国で、あとは韓国にも輸出している。またニシンも約2025万トンとたくさん輸出している。同時に、10万トンほどのニシンを大西洋、ノルウェー、アイスランドから輸入している」。主な漁獲はロシア極東で行われているものの、消費者はロシア西部にいるため、このような状況になる。アジア太平洋諸国に販売して、ヨーロッパから購入する方が簡単なのだという。また、タイセイヨウダラも従来から、年間14145000トンほど輸出されていた。

 「日本もロシアからたくさん輸入している。特にスケトウダラの卵。韓国釜山の競り市では、アメリカ産の卵と一緒にロシア産が売られている。ウラジオストクでも同様の競り市を立ち上げるプロジェクトがある」とソコロフ副長官。

 

予想外の道のり

 ここ1年でロシアへの新たな輸出国となった意外な国には、イランもある。すでに少量ながら、輸出を始めている。「天然エビと養殖エビ、マスもイランにある。グリーンランドもロシアにたくさんのエビを輸出するようになった。ノルウェー、欧州連合(EU)、カナダからの禁輸措置にグリーンランドは沸いているのではないか。量的にそれほど多くはないが」。ロシアは毎年、約5万トンのエビを輸入している。ロシアの以前の漁獲量は12000トン弱だったが、市場からカナダ産とノルウェー産のエビが消えたため、極東での漁獲が増えている。「これは小さなエビの話で、大きなエビは通常、日本に輸出される。日本ではエビが高価だから、ロシア市場は競争できない。日本ではエビの1キロあたりの卸売価格が1520ドル(約18002400円)に達する」とソコロフ副長官。

 現在、ブラジルへのスケトウダラ輸出案がかなり積極的に進められている。また、ロシアの漁業関係者は、アフリカにニシンを輸出し始めた。「これはタンパク質の良い選択肢。だがアフリカではインドネシアとアメリカの鶏肉の生産者という競争相手がいる」とソコロフ副長官。

 ロシア産スケトウダラが中国に輸出され、中国で加工されてそれがロシアに逆輸入されているという誤解があるが、これは真実ではない。ソコロフ副長官によると、ロシア人はスケトウダラを好んで食べないことから、販売するのが難しいのだという。中国から輸入されるのは養殖ウナギだ。「ロシアはウナギを養殖できないため、EUは稚魚をロシアに輸出しない。だがバルト三国が養殖を始めた。ウナギの稚魚を捕獲し、EUを通さずにロシアに輸出できるモロッコと、ロシアは交渉を行っている」とソコロフ副長官。

 

物流と販売の問題

 ロシアの企業はここ1年、タイセイヨウニシンからニシンへと変えるようになり、水産物の養殖を増やすようになり、エビをたくさん捕獲するようになった。だが今のところ、物流の問題と販売の問題は解決されていない。「漁師は捕獲して収入を得たいから、買い手を必要とする。残念なことに、中国の買い手ならまとめ買いする用意があるが、ロシアの買い手だと、年間1万トンで大型契約と考えられるほどの規模。1万トンは大型漁船1隻の年間水揚げ量に満たない。ロシアのチェーンはノルウェーサーモンの取り引きに慣れている。ノルウェーサーモンは養殖だから品が均一で、宣伝もしっかりされているから、需要がある」

 ロシア国内では水産物の販売が比較的難しいという意見に同意するのは、国立経済高等学院地域経済学・経済地理学講座のアレクセイ・スコピン主任。「ロシア極東の漁業の主な問題は地元の人の購買力にもとづく需要で、これは極めて低い。そのため、漁業関係者は外貨ですぐに支払いをしてくれる近隣諸国に販売する。また、利潤税を避けるために、港に寄港せずに海上で捕獲した水産物の積み替えを行い、収入を報告しないというケースもある」とスコピン主任。スケトウダラについては、料理の特殊性だけでなく、価格を2倍から2.5倍に吊り上げる転売人がいるために、ロシア西部での販売の収益性が低く、好まない人が多い。