Coca-Cola Hellenic工場、ロストフ州=ヴァレリイ・マティーツィン撮影/タス通信
欧米の政府が対露制裁を強化すれば、西側の企業はそれに従わなくてはならなくなり、ロシア市場での活動縮小を余儀なくされる、との見解を、ボーイング社のクラフチェンコ部長は示した。同社は常に法律の文言に従っており、制裁は「法律とセット」だという。「当社はロシアで数十万人分もの雇用を場をつくっているから、できれば避けたい」とクラフチェンコ部長。同時に、他の経済界の関係者によると、ロシアとアメリカの経済的なつながりは以前と変わりないという。
ロシア連邦経済開発省のオレグ・フォミチョフ次官はこう話す。「ロシアとアメリカの協力は今年になってから崩れ始めた。昨年はむしろ、それまでよりも協力の度合いが強かった」。両国の2015年第1四半期の貿易取引高は20%減になっている。「これはつまり、1年間がまんした経済界が、やはりブレーキをかけ始めたということを示唆している」とフォミチョフ次官。
ロシアのIT企業「IBSグループ」のアナトリー・カラチンスキー社長はこう話した。「知的関連をあつかう企業は、アメリカとの活動を続けている。世界は技術的にからみあっており、一国にすべてを集中させるというのは不可能。そのため、いかなるパートナーも失っておらず、ボーイング社、IBM社、マイクロソフト社などとの活動を続けている」
ロシアの複合企業「スンマ」のウィリアム・ショア副社長によると、ロシアとアメリカの企業の協力は主にハイテク分野だという。
ロシアの製紙グループ「イリム」のザハル・スムシキン代表取締役会長(フォーブス誌によると個人資産は7億5000万ドル≒900億円)によると、ロシアとアメリカの関係の危機は、政治要因のみによるものだという。「ルーブル安で当社の収益は急増し、資金的状況も良くなった。だが利益を生んでも投資を行わない会社は脅威になる」とスムシキン会長。ロシアとアメリカの関係の冷え込みが今後1年ないしは2年続いた場合、ロシアへの投資の抑制要因になるという。
欧米の大手企業はロシアの経済界ですでに自社を現地企業のように感じているため、撤退はないだろう、と話したのは、コカ・コーラ社のクライド・タッグル上級副社長。「国民の所得と消費の潜在的成長を見れば、当社にとってロシア以上に良い市場はない。その可能性は今でも変わっていない」。コカ・コーラのロシア法人は国内に12工場保有しており、現地経済に10万人分の雇用の場を創出しているという。
「未来に目を向けてみると、ロシアは私にとって主要な市場の一つ。経済制裁があっても。ただ、投資家として、我々に必要なのは、経済的、政治的、社会的安定性。予測可能性と透明性が必要」とタッグル副社長。そのため、ロシア政府には、コカ・コーラに対して、他のロシア企業と同じように接してほしいというのが、唯一の願いだという。
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