サンクト経済フォーラムで示された連携

タス通信撮影

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第19回「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)」(18~20日)では、欧州連合(EU)およびアメリカとの政治的な冷え込みにもかかわらず、経済的なつながりが強化された。出席者には大手企業BP、シェル、アリババなどの最高経営責任者も名を連ねた。そして、ギリシャのチプラス首相は、今回一番注目された政界の来賓となった。

 SPIEF2015では、欧米との政治的冷却にもかかわらず、経済的なつながりが強化された。ロシアNOWが取材を行った専門家が、このような結論にいたっている。 

 ロシア経済・国家行政アカデミー金融・銀行問題学部金融・通貨流通・信用講座のマクシム・サフォノフ准教授によると、量と質のどちらの傾向についても話すことができるという。量的指標では、フォーラムに参加した人の数は世界115ヶ国約1万人、総額54億ドル(約6480億円)の覚書、契約書205件に署名が行われた。「質的指標については、ロシアの孤立が明白になった」とサフォノフ准教授。同時に、対ロシア経済制裁にもかかわらず、外国人投資家の関心は変わっていない。

 ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、イリヤ・バラキレフ氏はこう話す。「今回のフォーラムは、ロシアの一定の孤立と、現状によって生じたロシアの外交政策と国内経済の新たな現実を強調するものとなった」

 

政治的な孤立

 ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリスト、ティムール・ニグマトゥッリン氏によると、SPIEF2015にはさまざまな面があったという。フォーラムには、イギリスの石油大手「BP」のロバート・ダドリー最高経営責任者(CEO)、イギリス・オランダ系石油大手「ロイヤル・ダッチ・シェル」のベン・ファン・ブールデンCEO、中国の電子商取引大手「アリババ」の馬雲会長など、国際的な大手企業のトップが参加。そしてギリシャのアレクシス・チプラス首相はもっとも重要な来賓となった。

 バラキレフ氏によると、形式的な面を見ると、いかなる孤立もないが、一方で、アクセントと優先事項の“スライド”が見られたという。他の国の首脳は訪問を拒んでいる。過去の例をあげると、2013年にはドイツのアンゲラ・メルケル首相が、2010年には当時のニコラ・サルコジ大統領が出席していた。また、フォーラムと時を同じくして、EUは対ロシア経済制裁を延長した。中国から今回出席したのは、張高麗第1副首相。

 「ギリシャ側の関心は十分に明白。現在、あらゆる金融支援が重要だからだ」とバラキレフ氏。具体的には、ロシアから南ヨーロッパまでのガスパイプライン「トルコストリーム」への融資に関する協定が結ばれた。協定にもとづき、ギリシャはロシアの「対外経済活動発展銀行」から、プロジェクト実現のための20億ユーロ(約2800億円)を受け取る。

 

経済的な実績

 ニグマトゥッリン氏によると、フォーラムで結ばれた契約の総額は、マクロ経済および地政学の点で困難だった昨年の74億ドル(約8880億円)よりも少なかったという。とはいえ、昨年は国際的な大手企業のトップが参加していなかった。

 「経済界、政界の代表者や役人に多数集まってもらうのがSPIEFの目的」とバラキレフ氏。SPIEFのような会議形式は、有望な投資分野について話し、商談を進め、契約を結び、官民の連携を発展させるのにとても便利なのだという。

 「SPIEFのようなイベントは、経済活動の低下や経済状況の不安定化を一部逆転させることもある」とニグマトゥッリン氏。

 今回もっとも契約が多く結ばれたのは、ロシアと中国の間で、総件数は29件にのぼる。ロシアのイーゴリ・シュワロフ第1副首相は、両国のこれまでの契約総額が1兆ドル(約120兆円)になったことを明らかにした。「ロシアには中国からの投資に応える用意が十分にあり、また中国では我々のことを待っている。中国は物流センターの建設、電子商取引の促進を希望しており、工場建設にも関心を持っている」とシュワロフ第1副首相。

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