「日本は善隣関係にある国」

ロシアNOW撮影

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第3回「ロシア・日本フォーラム」(5月21日、東京)に先立ち、「エネルギー」分科会に話者として出席予定の、「サハリン・エナジー社」のロマン・ダシコフ最高経営責任者に、液化天然ガス(LNG)の市況や、日本との提携の見通しについて、ロシアNOWが聞いた。

-「サハリン2」プロジェクトの年間生産能力はいかほどでしょうか。 

 サハリン・エナジー社のLNGプラントには生産ラインが2本あり、その総LNG生産能力は年間960万トンです。2010年に始まった最適化プログラムによって、プラントの生産能力をほぼ10%拡大させることができました。当社は昨年、LNG1080万トンを納入しました。

 

LNGの輸出先となっている国はどこでしょうか。各国への輸出量はいかほどでしょうか。また、ロシア産LNGは日本市場でどれぐらいのシェアになっているのでしょうか。

 サハリン2事業の枠組みの中で生産される石油とガスの主要な買い手となっているのは、アジア太平洋地域の国です。サハリン産LNGのほぼ全量に、20年契約またはそれ以上の契約があります。その買い手は日本と韓国の電力・ガス会社です。長期契約の枠組みの中で、また短期のスポット市場において、LNGの販売が行われています。

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 昨年、サハリン産LNG80%が日本へ、18%が韓国へ、残りが中国、台湾、タイへ輸出されました。サハリン産LNGの昨年のシェアは、アジア太平洋地域の市場において6%、日本の市場において9%強でした。

 サハリン産石油については、昨年の主要な買い手は中国(39%)、日本(31%)、韓国(29%)でした。

 

-東日本大震災および福島第1原発事故の後、日本への輸出量に変化があったのでしょうか。

 日本は我々の炭化水素資源の主要な買い手というだけでなく、善隣関係を維持しているもっとも近い国です。

 20113月に日本で壊滅的な地震と津波が発生した時、協力の用意があること、追加的にLNGを供給する用意があることを、当社はいち早く表明しました。我々の隣人が問題を解決する際にお手伝いできればと、弊社が出来得る努力を尽くしました。

 

-サハリン2事業への日本の参加について教えてください。

 日本とサハリン・エナジー社の間には、密接な関係があります。まず、日本企業の「三井物産」と「三菱商事」の2社がサハリン・エナジーの株主となっております。所有株式はそれぞれ12.5%10%です。

 日本の金融機関はプロジェクトの融資に積極的に参加しています。「国際協力銀行(JBIC)」と国際商業銀行コンソーシアムは、プロジェクトへの融資として、サハリン・エナジー社に67億ドル(約8040億円)を供給しました。これはロシアでもっとも大きなプロジェクト・ファイナンス案件の一つです。

 サハリン2事業へは、日本企業が請負業者としても参加を継続しています。「千代田化工建設」、「東洋エンジニアリング」、「新日鉄住金」、その他約35社の日本企業です。

 サハリン・エナジー社が長期傭船した最初のガスタンカー3隻は、日本の造船所で建造されました。LNG輸送はロシアの海運発展の新たな部門になりました。

 サハリン2プロジェクトの枠組みの中における協力は、日本とロシアの経済協力をさらに発展させる重要な要素となります。サハリン・エナジー社は、日本のエネルギー安全の強化に貢献できるよう努力を続けており、この地域における安定的かつ信頼性の高いエネルギーの供給源となれるよう、最善を尽くしております。

 

-日本市場は御社にとってどのぐらい重要な市場ですか。

 日本のLNG市場はサハリン2事業にとってもっとも重要な市場です。2014年にはサハリン産LNG80%が日本に輸出されているのですから。日本の国内LNG市場の9%強はサハリン・エナジー社の供給によって確保されています。主にこれらは、20年ないしはそれ以上の長期契約のもとで実現されています。

 

-サハリン2事業で鉱床開発は続けられるのでしょうか。サハリン2プロジェクトの第3系列の建設はいつごろ決定されそうですか。

 弊社株主である「ガスプロム」と「ロイヤル・ダッチ・シェル」は昨年、共同活動計画を定めるロードマップについて、合意しました。現在、当社は、事業の最適な技術コンセプトを作成しています。

 第3系列を建設し、稼働させることによって、当社はアジア太平洋地域における最大級のエネルギー供給源としての地位を強化することができ、同地域のエネルギー安全の強化に貢献することができます。

サハリン・エナジー社 

「サハリン・エナジー社」は石油・天然ガス開発事業「サハリン2」プロジェクトの事業主体。世界のLNG市場におけるシェアは5%

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