非資源品の輸出強化へ

ロイター通信撮影

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ルーブル安はロシア企業にとって、非一次産品の輸出を大きく増やす機会となる。ロシア政府はこのために、輸出刺激プログラムを立ち上げた。成果の一つとして期待されるのは、ハイテク製品の輸出だ。

 「(ウクライナ情勢を受けて発動された)対ロシア経済制裁にともなう目的、すなわちロシア経済を孤立させるという目的は、達成されなかったことが明らかになった。これは不可能」と、ロシア連邦商工会議所のゲオルギー・ペトロフ副所長は、モスクワで行われたフォーラム「開かれたロシア」の「新たな経済条件におけるロシア」の意見交換会で述べた。 

 一部の国ではロシアとの貿易によって、GDPが大きく押し上げられているという。「マケドニアでは昨年度の経済成長率が過去最高の4%に達したが、マケドニア政府のデータによると、これにはロシアが大きく寄与している」とペトロフ副所長。このような状況を受けて、ロシア政府は非資源品の輸出拡大を目指すことを決定した。

 

産業貿易省の計画

 ロシア連邦産業貿易省外国貿易分析センターのロマン・リャドフ所長によると、同省は6月末までに、国内18分野の輸入代替計画すなわち国産化計画を作成する。ここには外資系企業のロシアでの現地生産化などを含めた国内生産の振興を、いかに国が進めていくかが記される。このために、「特別投資契約」すなわち国が雇用創出とハイテク製品の生産を投資家に求める、国と民間企業の間の契約形式が、ロシアに導入される。別のツールとしては、「産業振興基金」がある。すでに200億ルーブル(約475億円)が基金に配分済み。基金はロシア企業に年率5%で融資を行う。ちなみに4月下旬の時点で、ロシアの民間銀行の取り引き先であるロシア中央銀行の年率は14%

 「ロシアが非資源品の輸出を伸ばすことは可能。穀物や低加工品を含む、農産物の輸出を中心に」と話すのは、ロシア経済・国家行政アカデミーのイワン・カピトノフ准教授。生産者はルーブル安を背景に、その条件を改善させている。とはいえ、「ロシアでは加工産業は十分に発達しておらず、品質は欧米の先進諸国の要求事項を必ずしも満たしていない」

 

輸出の支援

 専門家によると、国内メーカーの成功を示す指標の一つとなるのは、ハイテク製品の輸出だという。「現在、ロシアのハイテク製品の輸入は、輸出の11倍」と、「スコルコボ」基金のヴァシリー・ベロフ副理事は話す。ルーブル安はロシア製品の競争力を高めるものの、この条件だけでは不十分だという。研究機関の研究の質を向上させる必要があると、ベロフ副理事は考えている。この観点から、ハイテク製品の輸出に集中し、それゆえに中国を超えている日本とアメリカは、良い手本である。ベロフ副理事のデータによると、昨年、ロシアのハイテク企業40社が、海外に営業拠点を開設し、国際市場に参入した。

 輸出促進の条件の一つとなり得るのは中小企業の支援である。「国が中小企業を支援した場合、ロシアの中小企業は市場の状況を活用することができるようになる」と、中小企業支援局のヴィクトル・エルマコフ局長は話した。現在、ロシアの輸出に占める中小事業の割合は0.2%だが、先進国ではその割合が40%に達しているという。現状を変えるために、ロシアではアジア太平洋地域の市場に進出する中小企業の支援を目的とした、オンライン・プラットフォームが立ち上げられた。近い将来、そのプレゼンテーションが中国で行われる。この支援は他の地域に対しても行われる可能性がある。

 「展望は概してかなり良好であるが、これは主に、ルーブル安と関係している。輸出企業のコストは主にルーブル建てであるため、ルーブル安が輸出の魅力を高める」と、ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、イリヤ・バラキレフ氏。どの輸出企業も、海外市場向けの製品の割合を増やそうとしているという。具体的には製鉄、食品などの分野だが、輸出志向は国内市場で不足を引き起こし、価格を上昇させるため、必ずしも良い傾向と呼ぶことはできないと、バラキレフ氏。これを理由として今年2月、政府は小麦に輸出関税をかけた。また将来的には、製鉄分野に対して同様の解決策が適用される可能性も排除していない。