グリゴーリ・スィソエフ/ロシア通信撮影
2014年の世界の軍事支出に占める国別の割合は、上からアメリカの34%、中国の12%、次いでロシアの4.8%。ストックホルム国際平和研究所のこのような報告を、ロシアのタス通信が伝えている。報告によると、ロシアの2014年の軍事支出は、前年比8.1%増となる845億ドル(約10兆1400億円)またはGDPの4.5%。
ロシアの世界第3位の割合は世界経済に占める位置に合っていない(2013年、ロシアは名目GDPで世界第8位。2014年のデータは未公表)と、ロシア経済・国家行政アカデミー分野別市場・インフラ研究所の上級研究員、ヴァシリー・ザツェピン氏は話す。これはロシア経済の過度かつ無駄な軍事化の証だという。「現在のロシアの経済状況では、これほどの軍事支出の多さを正当化することはできない」とザツェピン氏。
2つの指標が示すもの
専門家によると、予算にかかる負担は、世界の軍備市場における割合ではなく、GDP比の軍事費で定められる場合が多いという。この点でロシアは世界有数の負担を担う国である。
ザツェピン氏のデータによると、2014年の各国経済の軍事負担は、平均でGDP比2.4%。世界では平均して、この規模の額が軍事費になっている。例えば、北大西洋条約機構(NATO)の要件によると、加盟国は少なくとも、GDPの2%を軍事費にあてなければならないが、これを守っているのはアメリカを含む4ヶ国にすぎない。昨年の軍事支出は、アメリカで6100億ドル(約73兆2000億円)またはGDPの3.5%、中国で2160億ドル(約25兆9200億円)またはGDPの2.2%。ロシアの軍事支出は、ストックホルム国際平和研究所の報告でGDPの4.5%、公式データでGDPの4.8%、つまり世界平均の2倍になる。世界の二大経済大国をロシアは上回っているのである。
とはいえ、ロシアの投資会社「フィナム・マネジメント」の上級専門家であるドミトリー・バラノフ氏によれば、世界市場に占める軍事支出の割合も、各国の経済の軍事化を比較する際に、専門家は考慮に入れる。これは一般的な指標であり、他の国との比較に用いることができるという。
「残念ながら、どちらの指標も、ロシアの国家予算が軍事費に大きく偏っていることを証明している」とザツェピン氏。
主な危険性
予算の軍事化によって、軍拡競争への組み込み閾値であるGDPの約4~5%を超えるという現象が起きた、とザツェピン氏。
ソ連経済の崩壊などをもたらしたのが、当時の軍拡競争への参加である。1990年代初頭の市場改革を主導したエリツィン政権の閣僚エゴール・ガイダル氏は、自身の著書「帝国の壊滅」の中で、ソ連がどんな軍事紛争でも使いきれないほどの多くの戦車を生産した、と書いている。
とはいえ、原油価格の下落により、ロシア政府は軍事支出の削減を余儀なくされた。2015年の支出は5%減になると予測されている。
ストックホルム国際平和研究所の報告によると、アメリカと西ヨーロッパが昨年、軍事支出を減らした一方で、東ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカ、中東は増やしている。同研究所軍事支出部のサム・ペルロ・フリーマン部長によると、「多くの場合、『軍事支出の増加』は、汚職、個人的な利益、専制支配の結果」だという。
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